最近の高専ロボコンに感動したブログ

高専ロボコン第30回大会も近いということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

高専ロボコンデータベースのライセンスと著作権 その10

 その9まで「ロボット名データベースのライセンスと著作権」と題してきましたが、ロボット名以外にもデータベースが必要ではないかとこの記事の途中から思い始めていました。そこで記事の題を「高専ロボコンデータベースのライセンスと著作権」に変更しました。

データベースの著作権

 公開している試作の高専ロボコンデータベースで表示しているロボット名などの情報には「日本では」著作権などは生じていないものと考えています。誰でも知ることができる情報*1、事実情報を表示しているだけであり、創作性がないからです*2

 試作したデータベースを基に、新たな情報を加えたり、情報提供者と閲覧者との双方向性を持たせたり、公開されている情報だけでは知りえない情報を作り出して公開しようと構想していますが、工夫された表示方法(編集著作物となりえる)、体系的な検索機能、そして独自の統計情報などが加えられていれば著作権が存在していると考えます。

 著作権に注目しているのは、寧ろせざるを得ないのは、多くの方の利用や高度な利用がされる場合に生じる問題を懸念しているからです。問題を想像しておきたいところですが、際限がないと考えるので、誰もが利用し易く、開発者や積極的情報提供者が何の心配せずとも可能な限り長く貢献し名前など属性情報を残してライセンスを選択しておきたいのです。また、データベースに内包されるかもしれない画像や動画、文章などにはデータベースのとは異なる著作権が発生していると考えてるべきですが、データベースとそうしたものの整合性についても十分注意しなくてはなりませんから、やはり適切なライセンスを求めます。

著作権法

 ライセンスを求める前に、私が考えていたデータベースの著作権に関することが正しいかどうか調べてみます。作ろうとしているデータベースは世界に開かれたものを理想としますが、先ずは日本での法律や権利に則したものにしておきたいところです。日本には著作権法があり、そこにはデータベースに関する項目もあります。

著作権法

 第一章第一節第二条十の三にデータベースが定義されています:

十の三  データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

可能であるならばロボットの画像やエピソードなども欲しいので、まさに作ろうとしているデータベースそのものが定義されていると解釈してよいでしょう。

 第二章第一節第十二条の二でデータベースが著作物である条件が記されています:

第十二条の二  データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

これには補足のような項があり、

2  前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。

データベースが内包している例えば画像や引用文書などの著作権にはデータベースの著作権は影響しないことを記していると解釈します*3。そのあたりは著作権法内で自分で調整するものだということでしょう。

 第二章第三節第四十七条の七で情報解析のための複製も規定されています:

第四十七条の七  著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。

情報解析するのであれば、曖昧なデータ取得限度ではありますが、それを目的にデータベースのデータを手許に置いておくだけではなく、変更してあらたなデータベースが構築可能です。この規定には MIT License などのオープソース・ライセンスのような複製して幾つかの条件を満たせば自動的に利用許諾を得られるような緩さを感じ、広く利用されることを念頭に法整備がされているのだと解釈したいところです。*4また、データベースの情報をJSON/XML形式で出力する Web API とそれを利用するモノも法的に無理がなさそうです。

実際の法令運用

 データベースに関しては以上の規定に留まります。著作権法上、例外的に扱っている箇所がありますが、基本的には他のものと同じように扱われるようです。しかし、問題が起きたときの出来事をみてみると、データベース特有の扱われ方をしているようです。例えば、自動車DB事件を取り扱った記事や論文を幾つかみてみると、自動車の分類体系に創作性が認められなかったため、より本質的に表せば、情報の選択と体系的に構成したことが事実の認定に留まるとされたために*5、何億円もの投資と人手がかかったデータベースに著作権が認められなかったそうです。一方、マンション販促用DB事件では、分析し易いように考え抜かれたリレーショナル・データベースに創造性が認められ著作権が認められました。

 自動車DB事件などは、営利目的でデータベースを構築・利用することを前提にしていますが、私(達)が構築しようとしているデータベースとそのシステムは非営利であり、広く使われること、永続的な資料として残ることを目標にしています。著作権の有無は関係がないように思われるかもしれませんが、著作権があることで付随する著作人格権も認められ、起こり得る又は予期せぬ問題から開発者や情報提供者を遠ざけ、守り、そして安心して開発や維持をしていられるために必要であると思っています。具体的には、例えば、データを複製した方から訴訟をされない、データベース構築の貢献者の名誉を傷つけられないなどのためです。

データベース権

 ところで、EU域内の欧州では、20年以上前の1996年に*6「EUデータベース指令」がEUから発表され、そのあたりからデータベースに創造性がなくても制作者に著作権上それに類する権利と保護が与えられてきました*7詳しくは各所の記事などに譲りますが、高専ロボコンデーターベースも同様に扱われたいものです。日本でもデータベースにEUの権利付与方式が検討されているかもしれないのですが、進展はないようです。*8いずれにせよ、データベースは活用されると同時に保護されたいものです。

ここで一区切り

ちょっとまとめ:日本では、データベースに創造性が認められるとした場合に限り著作権が与えられるが、それを主張したり確認したりしたいときは問題が起きたとき、具体的には訴訟中であり、基本的にデータベースは著作権的やその他の権利でそのままでは保護されないと考えてよい。*9

データベースの著作権とライセンスについては続きます。

参考

*1:但し、多くの情報提供があってロボット名だけは一応揃ったという事実からすると、「誰でも」というのは語弊があるかもしれません。

*2:少々の表示変更はできます。

*3:詳しい方へ。間違っていたらご指摘をお願いします。

*4:本当は違うかもしれない。

*5:例えば、ホンダのNSXは、四輪駆動車、スポーツカー、2シーター、・・・、という分類をすることは単なる事実の認定に過ぎないということです。

*6:偶然にも私(達)が高専ロボコンのデータベースを作り始めた頃ですね。

*7:BrexitしたU.K.が本当にEUから離脱すると、U.K.のデータベースには著作権が認められ難くなるのでしょうか?

*8:実際はあるのかもしれません。オープンデータ戦略などを政府音頭で行われていますから。

*9:間違っているかもしれません。