高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

高専ロボコンデータベースのライセンスと著作権 その12

 先日、『廃炉創造ロボコン』の特集番組を視聴しました。福島第一原発廃炉作業に若者の想像力を活かすため、そして対応できる人材の育成を目的に開催されたコンテストを取材したもので、番組ではコンテストに挑む何人かの学生がクローズアップされていました。

 廃炉作業に入る前に廃炉計画の立案・作業見積もりは必須であり、そのために作業対象をその都度調べる必要がありますが、これまで福島第一原発の調査に向かわせたロボット40台のうち6台が戻ってこれなかった、または回収できなかったそうです。将来は調査だけではなく、ロボットが作業することも考えられているでしょうが、先ずは調査だけでも容易に出来るようにならなければ作業は進まないでしょう。コンテストは原子炉と同じ構造物と制限で近づけた仮想の極限空間・状況、そして瓦礫に見立てた二つのコースが用意され、どちらかのコースを移動して競うものでした。

 番組としては、若干説明が足りない感じがしました。放射線自体についてはあの時以来報道などでその知識を得た方々も多いとは思いますが、電子機器などへの影響について小学生でも分かるように解説が欲しいと思いました。日本の名だたるメーカーの自律型ロボット、例えば本田技研が誇る二足歩行ロボットASIMO*1などが投入できない理由を小学生が述べられる程度には必要ではないかと思いました。また、「開発費用20万円まで支給*2」との説明はありましたが、これまで調査に投入されてきたロボットの開発費用の十分の一から百分の一の安さ*3で挑んでいるということを強調して欲しかったと思います*4。そうすれば「まともに動けていないじゃないか」という的外れな批判が起こることもないと思います。

 さて、前回の続きです。

データベース向けに開発されたライセンス  - Open Data Commons -

 EUが1996年に創作性の無いデータベースにも独自のデータベース権を認めてから10年ぐらい経ち、世界に開かれたデータまたはデータベース向けのライセンスが開発されました。 それが"Open Data Commons"による三つのライセンスです。日本語の資料が少ないのですが、詳細は専門書や専門サイトに任せるとして、次の並びの上から順に制限が厳しくなっており、それぞれ、Creative Commons の CC0、CC BY、CC BY-SA にほぼ対応しているそうです。

  • PDDL : Open Data Commons Public Domain Dedication and License
  • ODC-By : Open Data Commons Attribution License
    • CC BY、クレジット表示さえすればよい、に対応。
  • ODbL : Open Data Commons Open Database License
    • CC BY-SA、クレジット表示する他に利用者が変更・追加した部分についても同じ条項でライセンスを継承、に対応。

opendatacommons.org

ODC-By

 全てのライセンスを詳しく知りたいところですが、私(達)が開発し、問題を生じさせ難く、なおかつ多くの方が利用しやすい情報を提供する高専ロボコンデータベースには クレジット表示さえすれば利用可能な "CC BY" とほぼ同じだとされる "OCD-By" が適していると思い、これについて少し調べてみます。ただ、参考にした次の三つの記事によると、これより制限がある "ODbL" も理解したほうが良さそうです。

 Open Data Commons(ODC) の三つのライセンスが2008年から2010年にかけて*5公開されるまで、事実情報と著作物が混在しているデータに適切なライセンスがありませんでした。ODC の先進性に触発され、著作物を含んでいる場合も考慮された、公開されているデータやデータベースに適した Creative Commons Version 4.0 が策定・公開されたのは2013年11月でした。

 Creative Commons に影響を与えた(らしい) ODbL の先進性として挙げられるのは、データまたはデータベースが著作物を含む場合に任意にライセンスを決められるようにしたことでしょう。著作物を含む場合は二通り考えられます。一つは既に著作物を含む場合で、ODbL はデータまたはデータベースと共に公開される著作物に対して ODbL と一体化している DbCL(Database Contents License) を与えることも、著作物に予め与えられていたライセンスをそのまま継承することもできます。もう一つは、データまたはデータベースを基に著作物が生成される場合で、例えば地図情報データベースでは数値データから画像を生成することがあり、ODbL ではその著作権を DbCL またはDbCLと異なるライセンスを適用することができます。ODbL を採用してれば 事実情報と著作物を包括的に扱えます。高専ロボコンデータベースで想定されるケースとしては、例えば試合結果のデータがあるとして、そのデータからトーナメント表画像を生成するとき、その画像のライセンスをデータベースと同じにするのか、別のライセンスを適用するのかといった管理が可能になります。

 その ODbL の利用許諾とその条件の詳細は次に挙げた正式・略式なライセンスのページと解説記事に譲りますが、

データベースやデータベースを利用した著作物の公開時に(権利者などの)名前を表示し、データベースの翻案やその翻案データベースを利用して生成した著作物の公開時には基になったデータベース同様 ODbL で公開し、翻案または基のデータベースを再頒布するには基のデータベースを公開して再頒布しなくてはなりませんが、ODC-By では名前を表示するだけでよいのです。

 次に続きます。 

参考

*1:ASIMOって完全に自律動作させられるんですか?関係者の方

*2:20万円以上は自身で負担

*3:通算すれば一万分の一か十万分の一かもしれませんね。

*4:とはいえ、各所への配慮のためでしょうから、仕方がありませんが、公共放送なのだし、そこは毅然とジャーナリスティックに振る舞って欲しいと思います。

*5:最初の2008年にパブリックドメインのPDDL、次の2009年にODbL、そして2010年にODC-ByのV1.0が策定・公開されたそうです。