最近の高専ロボコンに感動したブログ

高専ロボコン第30回大会も近いということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

秋田高専A ワッカマン(ワッカマン)

試合内容

地区大会

初戦1回戦第2試合

 鶴岡高専Bチームの「わなげびと」と対戦。鶴岡が全く輪が入れられない一方で、自陣ポール3本に順調に輪をいれ(44秒)、その後なかなか輪が入らなかったが、相手陣左に入れ4対0で、相手の不調もあり、勝利できた。

2回戦第2試合

 仙台高専広瀬キャンパスAチームの「Onyx(オニキス)」と対戦。この試合も前の試合展開と同様であったが、秋田は4点目が入れられず、相手の不調で、3対1で勝利できた。

準決勝第2試合

 自動的に得点を入れる福島高専Bチームの「ぐる輪(グルリン)」と対戦。ワッカマンの前に初めて手強い対戦相手が現れた。

 序盤の開始10秒で自陣ポール3本に輪を入れた福島に3対1とリードされ、その5秒後に中央ポール2.5m左右にも輪を入れられ、開始早々5対2と3点も差をつけられてしまう。中央ポールの複数本掛けが出来ない、しかも一本のポールに一輪ずついれていく戦術で、前の試合まで5点以上得点していない秋田がこの状況を絶望的あると捉えていてもおかしくはなかったが、そうは思っていなかったようだ。

 先ずは21秒に自陣ポール3本を決めて5対3。距離を調整しながら何度も外したが、1分20秒には相手陣左に輪を入れて5対4。ここで輪の補充に一旦スタートゾーンへ行き、1分50秒過ぎにスローゾーンへ戻って、相手陣右を狙う位置に着いた。ここまでは、ワッカマンの本当の実力をドラマティックに魅せるための準備に過ぎなかった。2分23秒で5対5の同点に追いつくと、そのまま連続して輪を放ち続け、2分28秒には5対6と逆転。2分45秒に5対7。直後福島が1点入れて6対7とされるも、試合終了時間にもう一点追加し、終わってみれば6対8で秋田が勝っていた。

 福島が全く防御しないこと、本当の実力が発揮できたことが勝因だろうか。

決勝戦

 準決勝で同校Bチームの「BLUE HAWAII(ブルーハワイ)」を下した一関高専Bチームの「百式砲(ヒャクシキホウ)」との対戦となった。一関の「百式砲」は輪の一斉射出による短時間のVゴールが可能な機体である。ひょっとしたらワッカマンが得点できないうちに負けてしまうかもしれないのであるが、百発百中ではないのだから、とにかくワッカマンは輪を放ち続けるしかなかった。

 試合は開始されたが、百式砲がスタートゾーンから出てくる様子がない。秋田の勝利の可能性が高まった。ワッカマンが放つ輪は自陣ポールを1本ずつに着実に入っていき、25秒で3本入れ終わった。そしてこれから得点差をもっと広げようとしていた39秒過ぎに一関がスタートゾーンから出てきた。その後は一関が輪が次々と入り、57秒でVゴールされた。昨年度の準優勝に引き続き、2006年第19回大会「ふるさと自慢特急便」以来の、秋田の地区大会優勝はお預けとなった。

全国大会

2回戦第2試合

 旭川高専の「Orthrows(オルトロス)」と対戦。秋田のワッカマンは装填装置、そして輪を離すタイミングのための磁気センサーなどに故障が生じていたようだ。通常一本の輪を射出するところを二本射出したり、輪を装置から離す位置が通常より手前の位置で離してしまったりなど、地区大会を勝ちあがってきた試合巧者の旭川高専と試合ができる状態になかった。結局、7対1で負け、全国大会を終えた。

 全国大会では接戦と逆転の試合が対戦型のルールとはいえ例年になく多かったため、秋田高専のワッカマンには地区大会準決勝のような連続して相手陣ポールに輪を入れるところを披露すること、さらに逆転することが期待されていたかもしれない。秋田高専のメンバーもそうしたかったのではないかと想像している。

秋田高専A ワッカマン(ワッカマン) 画像URL

東北地区大会 出場校データチェック ページより

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特徴

  • 移動システム:四輪オムニホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:二次電池(+輪の送り出し用圧縮空気(ペットボトル))
  • 射出装置1:ハンマー投げ型(汎用)x1
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:ゲームパッド
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:地区大会なし、全国大会あり(板)

射出装置

 回転運動を利用して輪を飛ばしている。装填装置から自由落下で輪を落とすと、射出装置の回転部の輪を引っ掛けるところに輪が嵌り、回転準備完了となる。自陣ポールへは半回転(1/4回転?)、中央ポールや相手陣ポールへは1回転半(1と1/4回転?)、回転部を回して輪を放つ。仰角を固定しているため、輪が飛び出す初速度を変えるためであるが、その最適な初速度のためにだろうか、輪が飛び出す方向とポールに当たる位置は異なっている。自陣ポールへの輪の射出方向は機体正面より左方向に飛び出し、中央ポールへはおおよそ正面、相手陣ポールへは正面に飛び出すが右へそれて行く。また、中央ポールと相手陣ポールへの射出時に顕著であるが、輪のトロイダル方向に回転が掛かり、輪の飛形を安定させている。輪の後端から輪に引っかかるので輪に入りやすくなっている。このトロイダル方向の回転は、回転部の輪を掴んでいた部分を軸として輪全体を動かす一次慣性モーメントで輪が回り始め、完全に回転部から輪が離れることで輪がトロイダル方向に回りだす機序となっている。その一次慣性モーメントを生み出すのは、偶然か設計したのかわからないが、次の輪の射出のために回転部の回転角を所定の角度に戻すようにしているため、輪を放つ瞬間に回転部の速度が落ちることで生み出される。

 上記のメカニズムを可能にした回転部の回転制御に磁気センサーを用いている。回転している部分に各種の動作をさせるための装置を積み込むと理想の回転速度が得られないことがあるのは容易に想像できる。また、無線は使えるので操作の点では設計時には心配はないだろうが、電源供給またはその重量は問題であったかもしれない。そのため簡素で壊れにくく、軽くするために、コンピューターやロータリーエンコーダーなどは利用せず、幾つかの磁気センサーと無線操作信号も受信する制御用の電子回路、そしてDCソレノイドと電源を赤い円盤内に上手く配置しているものと想像している。*1ハンマー型の射出装置を開発したチームは多かったが、輪を一つだけ搭載するのはワッカマンンだけである*2赤い円盤上の輪を掴む部分とは180度反対側、もしくは同じ位置に電源などが配置されているに違いない。*3

 こうしてよくみることで新たに疑問が浮かんだ。このような設計をどうやって初めて、どうやって各部を摺り合わせていったのか。何個もの設計パラメーターがあるが、例えばラグランジュ未定乗数法などで見つかるようなものではないし、幾つも試作重ねたのだろうか?

 分けて書くべきだろうが、射出装置が完成してから移動システムのホイールにオムニホイールの採用を検討し始めたのではないかと想像している。中央ポールや相手陣ポールへはほぼ正面に位置取ればよいが、自陣ポールへは左斜め前方を向けないといけないため、その調整が最もし易いかもしれないオムニホイールを正面後面方向と左右方向の十字配置にし、斜め方向は機体をスローゾーンフェンスに機体を押し付ければそのまま射出位置調整のガイドになるようにしているからである。

 全国大会の試合は残念なパフォーマンスであったが、次に期待している。

 ところで、仮に上記の射出装置回転部の内容が真実だとして、同様の構造を初めて採用したのは2009年第22回大会「DANCIN' COUPLE(ダンシングカップル)」に参加した一関高専「若さま(ワカサマ)」だろうか?南部鉄器マンがそうだろうか?

*1:あんまりソフトウェアよりになっても面白くないんだよね。

*2:たしかそのはず。後で調べなおします。

*3:同じ位置だと振動が激しくなる気もするんですが、あんまり振るえていないんですよねぇ...