福井高専B 福輪来(フクワクル)
エイプリルフールに限らず、この季節になると、テーマ・ルールを考えて発表してみる方がいます。実行されそうもないテーマやルールがあって面白いのですが、中には事前に知っていたとしか思えない内容がありました。そうした発表の場の一つであった某巨大掲示板には暗喩された書き込みや、時にはかなり明確に書き込まれていることもありました。今年はどんなテーマ・ルールになるか楽しみです。
福井高専Aチームの「Mr.イカフライ(ミスターイカフライ)」の全国大会での試合内容を加筆しました。
試合内容
初戦は2回戦第6試合から。金沢高専Bチームの「飛花輪(ヒカリ)」との対戦であった。自陣ポールに輪を入れるのに苦闘している金沢の飛花輪を横目に、福井の福輪来は自陣ポール、中央ポールと着実に得点を重ね、1対6で勝利した。
続く3回戦第2試合。石川高専Aチームの「WoF(ウォフ)」と対戦。この対戦も、自陣ポールに中々入らず、スタートゾーンとスローゾーンを往復している石川のWoFに対して、福井の福輪来は前試合同様に自陣・中央と得点を重ねて5対2で勝利した。
準決勝第1試合に進み、富山高専射水キャンパスAチームの「ドルフィンドール」と対戦した。福井の福輪来にとっては、初めての接戦となった。序盤の自陣ポールで若干のリードを許したが、直ぐに逆転し、開始56秒で2対3。射水のドルフィンドールも直後に自陣ポール3本に入れて、同点に追いついた。福井が中央ポールに決めれば、射水が直ぐに入れて追いつくという展開が繰り返され、1分36秒に福井が中央ポール2.5m左に輪を入れて5対6とリードして試合を折り返した。2分15秒には、福井は相手陣左に、射水は中央3mに同時に輪を入れて6対7となり、両者相手陣ポールに入れるしかない状況になった。試合終盤を迎え、両者スタートゾーン側で互いに近づいて向かい合い、輪の発射を牽制するか、輪がポールに入るのを防御するのか、操縦者とメンバー以外にはどちらともつきにくい状況になった*1。1点リードしていた福井は射水の同点に追いつく輪を警戒するような動きをしながら輪は発射せずに待ち、そのまま6対7で勝利した。
遂に決勝まで漕ぎ着けた福井高専の福輪来は、鈴鹿高専Bチームの「メカロン」に挑むこととなった。これまでVゴールで勝ち上がってきた相手ではあるが、何らかのトラブルによる出遅れがあれば勝機が無いわけではなかった。試合が開始すると、やはり鈴鹿のメカロンはトラブルが発生し出遅れた。福井の福輪来は、得点を入れ始めたら加速度的に加点間隔が速くなっていくような爆発的な鈴鹿メカロンの得点力を出来るだけ封じるためだったのだろう、先ず自陣ポールへ輪を入れずに、鈴鹿のスローゾーンの自陣ポールの前のフェンスに最も近いところに輪を一つ放って置いた。その置かれた輪に直接触れてからではないが、精神的に動揺があったのだろう、メカロンは自陣ポールへの最初の輪を外した。福井の目論見通りになり、メカロンは自陣ポールを2本入れてから、輪の装填のためにスタート地点に戻らざるを得なくなり、メカロンの爆発的な加点力を福井は一度だが断ち切ってみせた。しかし、勝機を見出したのも束の間、輪を補充し、53秒に自陣ポール3本目を決めてメカロンがいつもの怒涛の速さを見せつけてきた。終わってみれば福井が自陣ポール2本に輪を入れている間に、1分49秒でVゴール(2対9)とされ、福井は負けてしまった。準決勝で敗れたAチームのMr.イカフライ共々、鈴鹿のメカロンに敗れてしまった。
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特徴
- 移動システム:四輪メカナムホイール
- 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(ペットボトル)
- 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(航空母艦型)(自陣)x1
- 射出装置2:エアシリンダ押出カタパルト(航空母艦型)(中央・相手陣)x1
- 照準/測位システム:未確認
- 通信システム:bluetooth
- コントローラー:タブレット
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:なし
射出システム
ペットボトルに積めた圧縮空気を利用してシリンダーを伸張させ、その勢いでシリンダーの稼働部分に固定されたカタパルトを動かし、カタパルトに乗せた輪を飛ばしている。利用しているシリンダーは単道型であろうか。次の射出に備えてモーター駆動の装置でシリンダーのロッドを戻しているように見える。*2
自陣ポール用と中央・相手陣ポール用でシリンダーの本数が異なるようだ*3。また、中央・相手陣ポールは射出角度が調整可能である。
コントローラー
手許のコントローラーにはタブレットを利用していたが、試合をみているとタブレットを用いている他のチームよりも反応時間が短く、操作し易いように見えた。ソフトウェア的に工夫したのか、それともシンプルな構成なのか?*4
復調の兆し
鈴鹿高専のメカロンには両機とも負けてしまったが、AチームのMr.イカフライ2勝、Bチームの福輪来は3勝、合わせて5勝と、今回の東海北陸地区大会で最多の勝利数であり、優勝したメカロンの鈴鹿高専よりも1勝多い。さらに、久々ではあるが、決勝戦に勝ち上がった。Vゴールは出来なかったが、大会を盛り上げる活躍をした。
福井高専の過去のイメージで言えば、機械要素・メカニカルなロボットで活躍していてもおかしくない最近5年ぐらいのテーマ・ルールではあったが、成績はよろしくなく、全国大会への推薦も1度ぐらいであった*5。地区大会が始まってからこんなに長く低迷していたことは無かったようだ。
東海北陸地区では、全国大会進出数、地区大会優勝数、決勝戦進出数は最多を誇り、地区大会連覇経験があり、全国大会連続出場最多記録がある福井高専に復活の兆しが見えてきたと願いたい。