高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

福島高専B ぐる輪(グルリン)

 全てのロボットの記事を書き終えてはいませんが、100機以上みてくると高専ロボコン史上最高と賞賛したい*1ルールといえども他の高専ロボコン大会に比べてロボットの多様性、バリエーションが少なかったようです*2。私は同じロボットは一つとしてなかったと言いたいですが、見る人によっては同じようなロボットが多かったと感じたかもしれません。

 2016年第29回大会のルールが先日発表されましたが、対戦相手に全く干渉できない(かもしれない*3)のですが、誰が見ても「違いが判る」「アイディア対決」を復活させたい意図が感じられ、近年では自由度の高いルールのようです。

 私は昔の高専ロボコン「も」面白かったと思っています。明確に区別できるアイディアの多様性は昔のほうが多かったように記憶しています。昔のことなので美化されているかもしれませんが、「度肝を抜かれるような」、「変なの」、「技術的に早過ぎた」、「やりたいことはわかる」、「それはアリなのか」、「世界中の他の誰も思いつけない」、そんなロボットが多数あったように思います。第29回大会はそういうロボットが多数現れることを期待しています。

試合内容

地区大会

初戦1回戦第4試合

 八戸高専Bチームの「大冠乱射(ダイカンランシャ)」と対戦。福島はスタート地点から淀みなく次々と得点を重ね、開始15秒で自陣ポール3本と中央ポール2.5m左右に輪を入れて5点を先取した。5点ではあるが、福島高専の自動制御技術が発揮された序盤であった。ただ、その後は輪を二つ放っては輪の装填にスタート地点に戻ってくるのを繰り返す戦術しかとれず、何回か「往復」したが、加点ができなかった。幸い、対戦した八戸が全く得点できなかったのもあり、5対0で勝利した。

2回戦第4試合

 仙台高専名取キャンパスBチームの「輪ーKing!!(ワーキング)」と対戦。福島は初戦と同様に開始直後に5点の差をつけたいところであっただろうが、中央2.5mポール2本を外してしまい、0対3で輪の装填のためにスタートゾーンへ戻った。そしてまた、自動制御の往復を繰り返し、相手陣(右)にも、中央ポール3mにも輪を入れられることを示し、2対6で勝利した。

準決勝第2試合

 輪の連射が可能な秋田高専Aチームの「ワッカマン」と対戦。この試合までの得点結果からすれば、福島が優勢であったが、この試合はその延長線上になかった。

 初戦と同様に開始15秒で自陣ポールと中央ポール2.5m左右に輪をいれて5対2とリードした福島であったが、いつもの自動制御の往復で輪が入らない。そうしている間に、秋田に秋田の自陣ポール3本、相手陣左を入れられて、5対4と追いつかれそうになっていた。試合中盤以降、輪の搭載を終えて出来てた秋田に相手陣右を集中的に狙われ、2分23秒に、5対5の同点、2分28秒に5対6の逆転を喫してしまった。福島はここで追いついてさらに逆転といきたかったが、先に秋田にまた相手陣右入れられ5対7(2分45秒)とされた直後に中央ポール3mを入れて1点加点したのみであった。そして試合終了間際に秋田に駄目押しの相手陣右を入れられ、6対8で負けてしまった。

 中央3mポール1本に対して搭載している二つの輪を飛ばす戦術であったため、1点のみの加点であった。それを二本の相手陣ポールを狙う戦術に変えていたら同点にできたかもしれない。

全国大会

1回戦第3試合

 苫小牧高専「Xylert(キシラート)」と対戦。序盤、福島は最初の輪が自陣ポール1本目に弾かれてしまい僅差の2対1(開始9秒)でスタートゾーンに戻らなくてはならなかったものの、43秒過ぎにスローゾーンを飛び出して2回目の往復にでると、自陣ポールと相手陣右に輪をいれ4対1としリードを拡げた。

 両者輪の装填のためにスタートゾーンへ戻って、苫小牧が先にスタートゾーンへ出ると、1分28秒には4対3、1分41秒には4対4と同点に追いつかれてしまったが、福島は中央ポール右にいれて5対4と再びリード。

 2分15秒、苫小牧が中央2.5m左に輪をいれて5対5、再び同点に追いついてきた。

 2分29秒、福島は中央2.5m左に輪をいれて6対5とし、それ以降苫小牧の輪が入らず、追い上げを振り切る型で勝利した。

2回戦第4試合

 対戦相手は、優勝候補の一角であったが、初戦1回戦をVゴール勝利できなかった奈良高専「大和(ヤマト)」であった。大和の調子が悪ければジャイアントキリングも有り得ないことではなかったが、開始12秒でポール7本に輪を入れられて7得点され、そして29秒で中央ポール三本掛けのVゴール勝利をされ(17対2)、福島は負けてしまった。

福島高専B ぐる輪(グルリン) 画像URL

東北地区大会 出場校データチェック ページより

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特徴

  • 移動システム:二輪駆動タイヤ+二輪補助輪+?
  • 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(ペットボトル)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:?
  • 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(自陣)x3
  • 射出装置2:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(中央・相手陣)x2(全国では3)
  • 射出装置3:?
  • 照準/測位システム:ロータリーエンコーダーによる移動距離計測
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作
  • 操縦者:0名(1名)
  • 自律機能/自動機能:スタートゾーンで与えた指令通りに自動的に射出をして戻ってくる。
  • 妨害装置:なし

自動制御

 制御プログラムの「流れ」/「フロー」は一つしかないかもしれないが(他の表現でいえば「シナリオ」は一つかもしれない)、スタートゾーンで自動制御を始める指令を与えるとプログラミングしておいた移動経路に沿って移動しながら輪の射出をした後にスタートゾーンに戻ってくる。その「正確」な自動制御を可能にしているのが、駆動輪と同軸上に配置された同じ直径のタイヤを車輪とそれに繋がれたローターリーエンコーダーである。二輪駆動なので、左右にそれぞれ一つずつ取り付けられている。このロボットはローターリーエンコーダー以外の計測装置を利用していないようである。小さな学習用のマイクロマウス向けのような小さなロボットなどの実機が販売されていたり、そうしたロボットを研究・自作している方々の資料が公開されているので、基礎的なことは十分学習できるはずであるが、地区大会の解説者が評価していた通り、高専ロボコンほどの大きなサイズの機体の競技で勝負できる程の性能に高めたことは優秀であろう。専門書に譲るが、累積誤差、輪の射出衝撃によるスリップ、相手の輪があたるなどの外乱、そうしたものも考慮されているに違いない。 

*1:少なくとも私はそう思っていますが、みなさんはどうでしょう?

*2:調査してませんが、おそらくそうでしょう

*3:相手が積んだ箱に自分の箱を飛ばして崩してよいのでしょうか?