高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

函館高専B ブラックフープシューター(ブラックフープシューター)

試合内容

 前日のテストランで北海道地区大会唯一のVゴールを披露出来ていた函館高専Bチームのブラックフープシューターであったが、輪を放つ度に輪を放つ度にセンサーが壊れ始め、それが原因で無念の準決勝敗退をするとは思ってもみなかったであろう。

初戦1回戦第4試合

 戦術的にブラックフープシューターと同型機と分類されてもおかしくはない釧路高専Aチームの「スロペクス」と対戦した。ブラックフープシューターは沢山の輪を搭載できるが、スロペクスはその数を上回っていた。輪の数では不利であったが、輪がポールに入る性能で昨日までは他の機体を凌駕していた函館は自身が追いかける側になる試合展開になるとは思っていなかったかもしれない。

 序盤の自陣ポール三本までは釧路がリードして函館が追いつくという展開を繰り返し、52秒で3対3の同点。このまま点の取り合いに入りたかっただろうが、函館は輪を送り出す装置に不具合が出始めたのか、スタートゾーンとスローゾーンを往復していた。その間に釧路が中央ポール3m、函館がスローゾーンに戻ってきた直後に中央ポール2.5m左に輪を入れられ、3対5(2分21秒)と引き離された。ここから運よく不具合がでなくなり、函館は逆転を狙って反撃開始。2分25秒に中央ポール2.5m左、2分36秒に中央2.5mに輪を入れて同点としたかったが同時に釧路も中央2.5m右に入れて5対6の一点差。残り時間が少なくなったところで、函館は2分51秒に中央3mに輪を入れてなんとか同点に持ち込み、そのまま試合は終了し、審査委員判定に。2対1で勝つことができたが、危うく負けるところであった。スタートゾーンとスローゾーンの往復でポールを狙う時間が短くなったのが影響したのだろうか?

準決勝第2試合

 苫小牧高専Aチームの「XYlert(キシラート)」と対戦した。

 最初の射出をどちらも外したが、その後苫小牧が1点ずつ着実に得点を重ねていった一方で、函館は中々輪が入らない。函館がまた輪の送り出しに不具合が生じてスタートゾーンへ戻っていた僅かの間に、3対1(1分12秒)とされ、さらに相手陣ポール右、そして中央ポール2.5m右にと、苫小牧に連続して輪を入れられ、試合の半ばに5対1と大きく離されてしまっていた。

 1分42秒に函館は自陣ポール2本目に輪をいれたが、不具合が出てスタートゾーンへの往復をしている間に、また苫小牧にリードを広げられ、7対2に(2分14秒)。さらに8本目となる中央3mにも輪を入れられ、Vゴール負け目前の窮地に函館は陥っていた。

 終了間際の2分52秒に自陣ポール3本目を入れ、8対3のまま試合は終了し、函館は負けてしまった。テストランまでの状態であれば、函館が苫小牧よりも先に8本8点の状況に達してVゴールし、勝利を収めていたのかもしれない。

 地区大会放送番組で、負けた原因が輪の装填装置の赤外線センサーにあることが明かされていた。

函館高専B ブラックフープシューター(ブラックフープシューター) 画像URL

北海道地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

特徴

  • 移動システム:四輪メカナムホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:二次電池
  • 射出装置1:2軸2モーターの挟み型ローラー(縦挟み)(汎用)x1
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:なし

射出装置

 回転する二つのローラーで輪を鉛直方向で挟んで飛ばす、ピッチングマシンのような射出装置を搭載している。今大会「輪花繚乱」では同様の射出装置が多数みられたが、長い円筒を回転させていたチームと模型のゴムタイヤ付車輪を回転させていたチームとに大別できる。ブラックフープシューターは後者である。丸いまま輪をローラーに送ると接触面積・接触時間が短いために上手く加速できず安定した飛形で飛ばせないらしい。そこで、函館高専のメンバーは、輪を左右から押しつぶして角丸長方形(オーバル)のようにして車輪タイプのローラーに送る工夫をして、車輪と接する面積・時間が長くし、輪の飛形態を安定させ、遠くまで精度よく飛ぶようにしたようだ。

 因みに、車輪ではなく円筒の場合、輪が丸いまま送っても飛形は安定し、よく飛ぶようである。その代表は近畿地区大会優勝の明石高専「わっさん」であろう。詳しい説明は必要ないと思うが、輪のどの部分も円筒と接しており、接地面積のために輪を変形させておく必要がない。また、円筒を用いていたのに輪との接地時間を長くしていたのは全国大会準優勝の高松高専「Beehive(ビーハイブ)」であった。これは輪の装填機構の設計とも関係があるだろうが、輪の飛行に関しても何か期待があったのか知りたいところである。 

 輪を射出装置に送るのにエアシリンダーを利用していた機体が多い中、ブラックフープシューターはクランクを回して輪を送っていた。どちらか簡単で壊れにくく作りやすいのだろうか?

kosen-robocon.hatenablog.jp

 

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赤外線センサー

  赤外センサーが壊れたために輪の装填などが上手くいかずに負けてしまったとあるが、そもそもそのセンサーは何のために用意されいたのだろうか?推測であるが、輪を輪倉(マガジン)から落として射出装置に乗っているかどうかを識別するためにあったのではないだろうか。そのセンサーが輪を検知したときに、輪をオーバルにする装置が自動的に作動する仕組みになっていたのではないだろうか。また、赤外線を利用するセンサーは何種類もあるが、PSDのような距離を測るセンサーを採用していたのか、それともライントレーサーなどで利用される赤外線を放つLEDとその反射を捉えるフォトトランジスタからなるセンサーを採用していたのだろうか? 

PSD距離センサー AS-PSD

PSD距離センサー AS-PSD