佐世保高専A はなkasaじいさん(ハナカサジイサン)
佐世保高専というと、OBのご活躍が目立っている気がします。学術的に有名な方もいらっしゃるようですが、 世界的に影響が大きかったとみるべき「写メール」の開発者がOBというのは野望を抱く学生の目標になるでしょう*1。ロボット関連分野に限ると、映画『ロボコン』にも出演したあの「ムーンウォーカー」を作り、そして現在サイバーダイン株式会社でサイボーグ型ロボットHALの開発をしている新宮正弘さんがいらっしゃいます。今回の全国大会では審査員として招かれていたので、佐世保高専の参加者は全国大会を見てから全国大会に行きたかった悔しい思いを強くしたのではないかと思います。
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NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより
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特徴
- 移動システム:四輪メカナムホイール
- 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(ペットボトル)その1
- 射出エネルギー源と格納方法2:圧縮空気(ペットボトル)その2
- 射出エネルギー源と格納方法3:ゴム
- 射出エネルギー源と格納方法4:ゴム(+2次電池)
- 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(サイドスロー型)(自陣)x1
- 射出装置2:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(中央2.5m)x1
- 射出装置3:ゴム引張弾性利用カタパルト(押出型)(中央3m)x1
- 射出装置4:ゴム引張弾性利用カタパルト(オーバースロー型)(相手)x1
- 照準/測位システム:なし(目視)
- 通信システム:未確認
- コントローラー:ゲームパッド
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:なし
射出機構の種類が多過ぎじゃない?
双腕機構をみると、ムーンウォーカーなどを作ってきた先輩たちへの憧憬が垣間見えるようです。今年の課題であれば、一定の同じ動作をさせるだけなので初歩的な双腕機構だと推測します。これが相手陣ポールへも飛ばせる強力なものであったり、微調整可能なものであったら、相当高度なものと判断されます。
記事のメインテーマからちょっと離れます。
工業用ロボットアームに関わっている方ならご存知だと思いますが、ロボットアームの暴走事故が昔はあったそうです*2。事故数や頻度はわかりませんが、10年前程前に携わっている方から耳にした話ですと、暴走時に偶々傍に居たためロボットアームに殴られてお亡くなりなった方もいるとのこと。
ここでいう暴走というのは、思いもよらない速度でロボットアームが動いたことを意味しています。基礎的で一般的なロボットアームの物理モデルと制御理論では、特異姿勢*3から縮めようと位置制御をすると、最大限の速度で縮まろうとします。その急激な状態変化を暴走したと言っているのです。勿論、特異姿勢にならないように、また速度や人の気配までも考慮に入れた制御がなされるようになってきましたが、多数のロボットアームによる協調動作や非線形な入力状況による摂動で利用者や整備する方が予期できない動きをする可能性は決して否定できないでしょう*4。
高専ロボコンでも高度なロボットアームを搭載するようになったら、安全対策として圧縮空気などの取り扱いの指導・注意を受けるのと同様に、設計段階から制御理論・モデルの提出を求められ、専門家に精査されたのちに開発が許されるようになるかもしれません。
閑話休題。
傘の骨組みを利用した射出機構(中央ポール3m用)がありましたが、披露されず残念です。輪との接地点全体に均等に力を伝えられるなどの利点があったのでしょうか?