高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

香川高専高松キャンパスB 迅(ジン)

 ブログ編集環境復帰中に、連続投稿日数が途切れたことになっていました。同じ日に投稿したことになっている記事が二つあるので、私が間違ってしまったんですね。修正できないんでしょうか?出来ないようなので、気にしないことにします*1

勝負運や魔物のせいにしちゃイカン!

 同キャンパスAチームのBeehiveと比べると、自陣ポールを守りながらの相手陣ポール狙いという戦術ができないようだったので若干能力が落ちるが、信頼性と戦術によっては地区大会優勝は十分狙えたと思う。

 初戦は1回戦第2試合で弓削商船高専Bチームの「くま(クマ)」と対戦。危なげなく9対1のVゴール勝ちであったが、途中で輪の補給をするなど、投石器のようなオーバースローで輪をなげる装置の精度の悪さが気になった。

 2回戦第2試合で阿南高専の「COP-N(コップン)」と対戦。阿南のCOP-Nは一斉射出タイプで、彼らの射出精度がよければ高松の迅は負けるかもしれなかった。序盤で高松の迅は自陣ポール3本に入れた直後までは3対0とリードしていたが、阿南のCOP-Nの一斉射出で開始14秒で3対3の同点に直ぐに追いつかれた。この調子で試合が展開されるかと思いきや、阿南のCOP-Nは何度も一斉射出をするも殆ど得点できない。一方、高松の迅も得点は重ねられるものの、輪が絡んだり、精度が悪くて中央や相手陣のポールに輪がなかなか入らず、輪が尽きて補給するなどし、結局はVゴールで勝利できたが、2分42秒も掛かってしまった。

 準決勝第1試合は同校詫間キャンパスAチームの「Eclipse(エクリプス)」との対戦であった。強豪チームが作ってきたVゴール可能なロボットとはいえ、2分台でのVゴール。高松の迅よりも30秒程度速いだけであるから、好機があれば勝てないことはない。

 序盤は開始16秒で両者自陣ポールを全て決めて3対3と並び、両者中央ポールへ得点の入れあいとなる。高松は1回戦と2回戦を中央ポールに1本残して相手陣ポールを狙いにいっていた。これはVゴールのための最後の1本を邪魔されないようにするための戦術であると思うが、この試合では中央ポール1本入れた直後に輪が射出装置に絡んでしまい、スタートゾーンへ戻ってリペアをする他なかった。立ちはだかる者がいないポールに詫間Eclipseは次々と得点していく。高松が復帰した58秒頃には8対4とVゴール負けしてしまうピンチを迎えていたが、諦めずに中央ポールを全て獲得して8対6と差をつめた。

 両者輪が尽きたのでスタートゾーンに戻って輪を補給するが、ここで高松に一瞬の勝機が訪れた。先に輪の補給を始めていた高松の迅は詫間Eclipseより先にスタートゾーンを出ることができたのである。さらに詫間Eclipseへの輪の装填はまだ時間がかかりそうだったのである。

 スタートゾーンを出て直ぐの位置で相手陣ポールを狙いだした高松の迅は、相手陣ポールを一つ獲得して8対7と迫った。そして次のポールを狙いに行ったとき、また輪が絡んでしまった。リペアしにスタートゾーンへ急いで戻るしかない。高松がリペアをしている間に悠々と詫間EclipseがVゴールをして勝利。輪の装填機構の不具合がなければ勝てたかもしれない。

 僭越ながらここで少し苦言を呈しておく。最近の高専ロボコンは「魔物」のせいにしすぎである*2。そしてこれは昔からだが、「勝負運」とか「勝負勘」などと表現してきたこともある。本来なら「試合巧者」程度の表現を使い、ロボットに合った戦術(タクティクス)が練られていたことを賞賛し、至らなかった点を反省すべきなのだが、高専ロボコンのファンタジー世界に「魔物」や「勝負運」などの便利なある意味で発明品を持ち込んでしまっているのを見聞きして少し悲観するし、危険な傾向だと思っている。そういうファンタジーに浸かったままではなく、負けた後は感情が高ぶって分析的になれないかもしれないが、科学的そして理性的なコメントを残して欲しい。非常に便利な非科学的な言葉で納得・自己満足をしてはいけない。

香川高専高松キャンパスB 迅(ジン) 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 四国地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

特徴

  • 移動システム:四輪オムニホイール(卍型配置)
  • 射出エネルギー源と格納方法1:ゼンマイ(金属製引張板バネ?)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:圧縮空気(ペットボトル)
  • 射出装置1:ゼンマイ弾性利用カタパルト(押出型)(自陣)x3
  • 射出装置2:エアシリンダ押出カタパルト(オーバースロー型)x1
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:なし

輪倉

 AチームのBeehiveと同じく、銃器の弾倉(マガジン)のように輪倉に何本もの輪を込めておける。大きさも部品もほぼ同じに見えることから、アイディアだけでなく開発・製作も一緒に行われているのかもしれない。

車輪の向きが珍しい

 恐らく、今大会でオムニホイールを使った移動装置、駆動システムとしては全国で唯一の設計・デザインだったのではないか。また、これまでの高専ロボコンでこんな配置をしたロボットがあったのだろうか?

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 どういうメリットがあるのか?射出方向を調整するのに四輪全て使ってトルクフルに動かせる、モーターやモータードライバーの負担を減らせるということだろうか?それだと直進時は負担が大きいと思うが、どうなんだろう?

手許で圧縮空気の圧力確認

 計測値や内部状態を示す数桁表示までのLCDやPC用のディスプレイを取り付けたり、発光の仕方を変化させるLEDをロボット本体に取り付けたチームが多いなかで、手許の表示装置でロボットの内部状態を認識できているのは数少ない。手許のモニターでロボットのカメラからの映像をつかって照準が行えるのがあったが、センサーからの情報を表示していたのは殆ど無かったように思う。*3

通信とコントローラーの歴史的技術解説書

 ところで、最近、恐らくロボコン経験者の方であると想像しますが、コミックマーケットなどでモータードライバーなどの資料・読み物を販売している方がいらっしゃるのが目にとまりました。同様に、高専ロボコンの歴史に沿って有線、赤外線、無線までの通信とコントローラーの歴史的技術書のようなものを公開・販売してくださる方が現れることを期待しています(他力本願)。非常に高度な技術情報もあり、また製作した本人しか知りえないことも予想され、そして古い情報は集められないかもしれません。非常に困難なテーマだと思いますが、誰か書いてくれませんか?*4

*1:本当は気にしてます(^^; 

*2:そのほうが大衆的に受けがよい番組がつくれるんだろうね。

*3:ひょっとしたら文章がうしなわれているかもしれません。

*4:通信とコントローラーに限ったことではありませんが、かなり昔に、豊田高専のOBでリーダーも努めた方から豊田高専門外不出の書という資料を頂いたことがあります。高専ロボコンの番組でも扱われたアノ資料です。頂いたことを公開してよかったのかわかりませんが、当時の閉鎖的な状況からは想像できない今日の開放的な雰囲気になったのですからこのことは事後承諾でよいと思っています。