鶴岡高専A イカ略!?(イカリャク)
高専ロボコンに参加したロボットの名前などを収集していると、あることに気がつきます。「イカとタコ、意外に多いなぁ...。」*1
イカをモチーフ・テーマにした最初のロボットは、国内ではイカで有名なところの一つである函館の函館高専が1989年第2回大会「オクトパスフットボール」で製作した「キュッキュッ号」でした。タコ象った競技場の競技にイカで挑戦したところがなんとも言えません。一方、タコのは福島高専の「たこのデビット君」です。その次の第3回大会「ニュートロンスター」のポスターにもなった名機(迷機?)です。*2幾つかあった高専ロボコン最初の多足歩行ロボットでもあります。その後も何度もイカやタコのロボットが登場しています。今年の第29回大会「ロボット・フロンティア」では海に見立てた障害があるので、イカやタコを模したあるいは装飾を凝らしたロボットが出場するかもしれませんね。
試合内容
1回戦第3試合
鶴岡高専の「イカ略!?」は初戦で八戸高専Aチームの「YABUSAME(ヤブサメ)」と対戦。
序盤の自陣ポールに輪をいれるのは、八戸が若干のリードをしていたが、試合半ばに鶴岡の「イカ略!?」は追いつき、3対3の同点として試合を折り返した。
1分46秒、鶴岡は、中央2.5m右に輪を入れて逆転、そして直ぐに中央2.5m左にも輪を入れてリードを広げ、5対3とした(1分55秒)。その後、射出装置から輪が外れたなどのトラブルを解消するために両者はスタートゾーンへ戻っていった。
試合終了間際、両者同時にスローゾーンへ出て輪を放つなどしたが、5対3のまま試合終了。鶴岡が勝利した。
2回戦第3試合
前の試合で入れ難い相手陣ポールに連続して輪を入れて逆転をした秋田高専B「BLUE HAWAII(ブルーハワイ)」と対戦した。まだ実力を発揮していなかった「イカ略!?」であったが、そのポテンシャルと、どちらの機体も一つのポールに一つの輪を入れていくのとで、接戦が予想されるのは自然なことであった。
序盤早々、相手のリードを許さない展開となり、開始26秒で3対3と同点。中央ポールと相手陣ポールでの勝負へと移った。
58秒に秋田が相手陣左に輪を入れてリードすれば、1分1秒に鶴岡が中央ポール2.5m右に輪をいれて直ぐに追いついて4対4の同点。
1分14秒に鶴岡が中央ポール2.5m左に輪を入れて逆転すれば、1分16秒に秋田が相手陣中に輪を入れてリードを許さず5対5の同点。
1分24秒に秋田が中央ポール2.5m右に輪を入れて再逆転すれば、1分29秒に鶴岡が中央3mに輪をいれてリードを許さず6対6の同点と、お互いリードを許さず試合を折り返した。
後半、両者ともに輪が入らなくなり、膠着状態となるが、秋田がまた相手陣ポール(右)を執拗に狙い始めたため、そして既に中央ポール3本へ輪をいれていたため、鶴岡は防衛しながら相手陣ポールを狙う他なくなった。イカが飾られたポールを覆い隠すほどの前面で鶴岡は飛んで来る秋田の輪を弾いていたが、2分40秒に「イカ略!?」の機体の頂を掠めて秋田の輪がポールに入り6対7となった。試合前半のように鶴岡は同点にできず、試合終了。鶴岡は負けてしまった。
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特徴
- 移動システム:四輪メカナムホイール
- 射出エネルギー源と格納方法1:ゴム+二次電池
- 射出装置1:ゴム引張弾性利用カタパルト(航空母艦型)(汎用)x1
- 照準/測位システム:なし(目視)
- 通信システム:未確認
- コントローラー:自作?
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:なし(背の高い機体がその代わりになっていたかもしれない)
射出装置
簡素にして耐久性が高そうな構造をしている。ギヤードモーターでスライダー・クランク機構のクランクを回すとスライダーに結びつけられた何本ものゴムが引き伸ばされ、指定の長さに伸びたところで輪を載せているカタパルトを固定しているフックを外し、ゴムが縮むことでそのカタパルトが勢い良く引っ張られ、載せられていた輪が飛び出す仕組みになっている。輪を放った後は、カタパルトの位置とクランクの角度を元に戻し、カタパルトにフックをかける。射出装置の上方にはベルトコンベア式に輪をずらしてカタパルトに輪を一つ自由落下させて装填する装置があり、装填から射出準備までを自動で行えるようになっており*3、連射が可能である。
装置自体に仰角と方向を変える機能はないので、射出位置と方向は機体自体で調整し、これは推測になるが、到達高さや距離の調整はゴムを伸ばした長さで射出速度を変更することで実現しているかもしれない。