高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

答え合わせ 九州沖縄地区編

f:id:Matthew:20160607082249p:plain

 2015年第28回大会「輪花繚乱」の全てのロボットについて記事を書き終えましたが、誤字・脱字があるので、修正し、操縦者数の情報を加筆します。また、他のサイトで各ロボットについて技術資料が公開されていることを知ったので、公開されている機体だけ、答え合わせをしてみようと思います。今回は南から北上していったので、先ずは九州沖縄地区の沖縄高専から北九州高専まで。

 新しく得られた情報を元のブログに追記しようと思いましたが、ブログシステム上、公開された記事の下書きを持つことができないので、簡潔にこの記事一つにまとめることにしました。加筆・修正は行いました。

沖縄高専

 資料が見当たらず、残念。*1

鹿児島高専

 資料が見当たらず、残念。*2

都城高専

うり棒ブラザーズ

 詳しい資料が見当たらず、残念。*3

進め!みやこのゾウ

 Device Plusさんに詳細な資料がありました。

pages.rohm.co.jp

  各種のセンサーを搭載して装填動作を完全自動化していたことは推測できませんでした。機械式、またはリレーを使った頑丈なものかと思っていました。また、操縦が楽な機体だったようですね。いつでも手動操作に切り替えられるようにしてあるところは試合巧者の感じがします。

 詳細に説明されていた資料中にも分からなかったところがありました。フェンスの対衝突強度が分からなかったために、超音波センサーを使って一定の距離を保っていたそうなのですが、これはフェンスに近づき過ぎると自動的に駆動輪を回して離れるようになっていたとこうことなんでしょうか?それとも近づき過ぎたことを知らせるだけだったのでしょうか?もし自動的に離れるのか、または操作ベクトルのうち近づく方向だけをキャンセルするのだとすれば、この大会に参加したロボットの走行制御システムとしては高級な機能であり、より詳しく知りたいと思います。*4

 このロボットの記事の「特徴」を加筆/修正しました。

kosen-robocon.hatenablog.jp

熊本高専八代キャンパス

八代の動く城

 熊本高専八代キャンパスロボコン部にロボットの情報を短くまとめた良質なロボット紹介ページがありました。おそらくこのページ以上のポスターセッションやスライド発表ぐらいは直ぐに対応できる資料が蓄積されていると想像します。

八代の動く城 高専ロボコン2015 マシン紹介 -Y.KNCT RoBoCoN Club-

 さて、私の推測は大きな勘違いはなかったものの、異なる点や明かされなければ分からない点が沢山ありました:

  • 自陣ポール向けの輪の射出機構はゴムの弾性力を利用
  • PSDによる位置の検出はポールの台座ではなくポール自体
  • 中央・相手陣ポールのローラーの回転速度はPID制御で指定の速度を保持・微調整可能
  • ペットボトルに格納していた圧縮空気は自陣ポール用の3つの装置の衝撃で機体が傾かないようにエアシリンダー型ストッパーを伸縮させるのに利用(こんな用途に使っていたとは!)
  • 制御用コンピューターを複数枚使用
  • 操縦者コントローラーと制御用コンピューター間の通信にはBluetooth

単純に見ただけでは分からないこともありますが、各種デバイス・部品が安く手に入り、開発予算が現在では1台につき30万円支給されることから、高度なこと、作りこむことが可能になっていると感じました。

 余談ですが、かつて豊田高専が「秘伝の書」というので開発したロボットの機械設計図や電子回路図は勿論のこと、ノウハウや経験などの情報を文書化(言語化)して、一時代を築いていた印象があります。強かった/強い、または、凄かった/凄いところは例外なくそういったことをしていると想像しています。*5知っている限りでは、2002年前後から小山高専や旧富山商船は一般公開用のポスターまで作っていたようです。

 記事を加筆・修正しました。

 

kosen-robocon.hatenablog.jp

 

挑戦車

 「八代の動く城」と同等かそれ以上に詳細な情報を掲載したページが公開されています:

Challenger 高専ロボコン2015 マシン紹介 -Y.KNCT RoBoCoN Club-

 答え合わせですが、ロボット名が変更されていたことに気がついてなかった程度なので、分からないことだらけでしたね:

  •  射出機構に利用されているモーター数が1個か2個か上記ページでも不明。1個か?
  • 射出「装置」の仰角を変更・調整するのにラック&ピニオン方式の駆動でラックを移動させるとそれに連結されたリンクが動いて射出装置の仰角が変更される
  • 相手陣ポールは対戦相手のロボットに遮られてしまうために認識せず、認識するポールは自陣・中央ポール。
  • 操縦者コントローラー―制御用コンピューター間の通信にはBluetooth、Kinnect(PC)―制御用コンピューター間通信用にZigbeeXbee
  • カメラ映像内にポールがあれば自動照準。射出方向、仰角および射出速度の自動調整?

 ローラー型の射出機構が「八代の動く城」とほぼ同じなのでしょうか?仮にそうだとすればモーター使用個数は1つですね。また、仮にほぼ同じ機構であったとすると、八代キャンパスチームの勝利への戦略性、運用思想を感じます。部品や設計時間などの資源を効率よく利用しようとしているように思います。

 射出装置の仰角を変更・調整するラックとリンクの関係は公開されている画像からはよくわかりません。想像はつくのですが、確証がもてません。

 相手陣ポールへの輪が入る精度は練習で培われた操作技術によるものなのでしょか?それとも、中央ポールと機体の位置関係を上手く使える技を編み出していたのでしょうか?目視であんなに狙えるんでしょうか?

 操縦者と機体の間の無線通信だけではなく、搭載していたPCと制御用コンピューター間も異なる無線通信デバイスを利用していたとは驚きです。このほうが信頼性が高くなることもあるんでしょうね。

 自動照準システムについては、交流会などで説明されているようですが、公開されている資料だけでは、どれほどのシステムなのかいまいちわかりません。先ず、カメラ映像内にポールがあれば、自動的に照準動作に入るようですが、まだ輪を入れてないポールが複数本あるときなど、数ある状況によってどういうアルゴリズムでポールを選択するのでしょう?また、ローラーの回転速度を自動調整するのはわかりますが、砲台の角度というのは仰角のことなのでしょうか?それとも、砲台の水平方向の向きも自動調整するのでしょうか?

 まだまだ明かされていない技術がありそうです。

 記事を加筆・修正しました。 

kosen-robocon.hatenablog.jp 

熊本高専熊本キャンパス

 公開されている資料が見当たらず、残念。

有明高専

 公開されている資料が見当たらず、残念。

佐世保高専

 公開されている資料が見当たらず、残念。

大分高専

 交流会で披露された資料は公開されていないようです。交流会のページによると、15個もボタンがついているコントローラーのプラスチックカバーとボタンを3Dプリンターで自作したとありました。2チームどちらも同じデザインのコントローラーを使っていたのでしょうか?

deviceplus.jp

輪射るどSPEED

 簡潔に機構を中心にまとめられているページがありました。コントローラー以外は正解としてよいでしょう。

輪射るどSPEED / ROBOTS / ROBOKEN

 中央・相手陣ポール用の射出装置は伸張ストロークが変更可能で、その変更で輪の飛距離を調整していたんですね。また荷造り用のゴムベルトを輪を飛ばすのに利用していたようですが、伸張による疲労で切れることはなかったんでしょうか?

Meltec ( メルテック ) 軽トラ用品 平ゴムバンド 20m TKH-220

Meltec ( メルテック ) 軽トラ用品 平ゴムバンド 20m TKH-220

 

 自陣ポールへの自動射出のために利用しているセンサーの種類についての言及がありませんでした。PSD(赤外線)、超音波、レーザーなど、そういうセンサーはどれでも扱いは大きく変わらないでしょうから、敢えて記してないのかもしれません。

 このロボットの記事の「特徴」を加筆/修正しました。

kosen-robocon.hatenablog.jp

Golgoole

 輪射るどSPEEDほどの情報はありませんでしが、簡潔に機構を中心にまとめられているページがありました。コントローラー以外は正解としてよいでしょう。

Golgoole / ROBOTS / ROBOKEN

 コントローラーが違っていたので、このロボットの記事の「特徴」を加筆/修正しました。

kosen-robocon.hatenablog.jp

久留米高専

 Aチーム「Fortress」、Bチーム「Moment」、共に3種類の通信手段を用いていたそうです。東北地区交流会、九州地区交流会でそのことが披露されていたそうですが、それ以外の情報は見つかりませんでした。

deviceplus.jp

deviceplus.jp

 3種類の通信手段の中には赤外線通信があったことから、間違ってはいませんでした。今回赤外線を使っていたのは久留米高専の二台だけだったのでしょうか?

 Zigbee規格(2.4GHz)の通信、赤外線通信、315MHz帯特定省電力無線の3種の通信方法を用いてon/off情報を送信し、受信側で多数決をとって通信の信頼性を高めていたそうです。*6 

北九州高専

Wanna Be

アンテナ

 開発・操縦していた「あばうたぁ~ず」の"Wanna Be"紹介ページには、ロータリーエンコーダーの記述はありませんでした。自陣専用の「アンテナ」とあばうたぁ~ずが呼んでいるらしい*7二本の触覚のようなものがフェンスと触れたときに機体と自陣側フェンスとの距離や競技フィールドに対する機体の向き(角度)が計測可能だったようですが、「アンテナ」が動作しないときがあり、そのために機体の向きが完全な防御に適切ではなくなっていて、防御に隙が出来ていたことがあったそうです。これは、おそらく全国大会での香川高専高松キャンパスの"Beehive"との試合ではなく、地区大会での熊本高専八代キャンパスの「挑戦車」との試合であったことでしょうか?また、この「アンテナ」は中央・相手陣ポールを狙うときにも利用していたのかもしれません。いずれにせよ、「アンテナ」やロータリーエンコーダーについての私の推測は部分点が与えられる程度だと思います。

参考:

あばうたぁ〜ず - Wanna Be

deviceplus.jp

deviceplus.jp

Dウィング

 全国大会で側面両側に黒い幕の防御装置を追加していましたが、その装置の名前は「Dウィング」というそうです。このDはDefenceだと思いますが、黒色と形状とDとしたことで、全国大会番組であのような扱いになってしまったのではないかと思ってしまいます。

deviceplus.jp

加筆・修正

 照準/測位システムなどについて加筆・修正を行いました。 

kosen-robocon.hatenablog.jp

風輪華山

 公開されている資料が見当たらず、残念。但し、金属製のバネは、おそらく定加重バネでしょうね。

 記事を加筆・修正しました。

kosen-robocon.hatenablog.jp

自己採点

 解答先が少なかったものの、及第点だと思います。それにしても九州沖縄地区は昔から「凄い」と感想を漏らしてしまうのが幾つも出てきますね。2016年第29回大会も期待しています。

*1:高専ロボコン九州・沖縄地区交流会レポート1日目〜阿蘇の大地に抱かれて編 | Device Plus - デバプラによると資料スライドをなくしてしまったそうです。

*2:直近の九州沖縄地区の交流会にも参加していないようだ。

*3:こちらも、直近の九州沖縄地区の交流会にも参加していないようだ。

*4:facebookで質問してみようかな。

*5:1校例外があるかもしれませんね。

*6:なんだか某有名アニメーションのコンピューターシステムのようですね。

*7:角度を保つという意味では「ステー」と呼びたいところですが、通常ステーは構造体の中で力を受け止める役割の部品であることも多いので、あばうたぁ~ずの呼び方を採用しました。