高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

昔の大会をアレンジしてみる 第3回ニュートロンスター

 そろそろ、今回のテーマやルールが固まって発表資料が整えられている頃だと思います。現役生は勿論、ファンの皆さんも気になっていることでしょう。

 高専ロボコンは、世界でも類を見ない、全国規模、地区大会あり、シングルエリミネーション(または推薦で上位進出)、1m立法以上のロボットのディメンション、そしてなにより30年以上続けてきたロボコンとして非常にユニークではありましたが、その間に世界では、エンターテインメントに徹したものや、世界大会規模となった学生/ABUロボコン、科学技術開発やビジネスに直結した大会など、高度で見応えのある大会が増えてきました。長い間、様々な大会を見ていると、目が肥えてきてしまって、素晴らしいロボットが登場し続けて知的好奇心掻き立てられることで未来の期待を膨らませてくれる一方で、残念に映ってしまうものもあります。*1
 
 DBを作るのに高専ロボコンの映像と関連する資料を眺めていますが、関節が幾つかあるような腕や脚を持ったロボットをあまり見かけません。メーター越えのサイズで競技しているのでそのサイズに見合った複数の関節を持つ腕や脚が動いていればもっと迫力が増すと想像します。*2車輪の制御やその応用はこれまで行われてきたと思うので、もっとキネティックであるか自由度の高い関節をグリグリと素早く動かすようなロボットを見たいと思っています。

 キネティック以外にも、これぞロボットと思わせる特徴に(ある程度)自律して動けることを挙げたいと思います。その点で興味深い大会を挙げるとするならば、第11回の生命上陸と第25回のベスト・ペットでしょう。機械・物理的でも電子的でも、より具体的には、接触、圧力、歪み、電波、音波、光、レーザーなどを読み取るセンサーを頼って(もしくはタイマー仕掛けで)目的達成のための動作の引き金とするものは特に最近のロボコンでは当たり前に利用されていて、昔のロボコンより遥かに高度になっていると思います。もうしばらく続けて当たり前になった頃には、もっと多種多量のセンサーを配置したくなるような課題に取り組んで欲しいと思います。これについてはみてみたい具体的な例は直ぐに挙げられませんが、面白いロボットが出てくる前提となることでしょう。

 また自律に関連していえば、最近、ニューラル・ネットワークによる機械学習を隠れ層を何層にも重ねるなどして高度に発展させたディープラーニングによる人工知能みたいなものの開発と応用が急速に発展してきたことにも関心を持たないわけにはいかないでしょう。学生が参加するロボコンでそうしたものを積極的に実戦投入して成功した例を私はまだ聞き及んでおりません。*3*4高々3分間の競技には、何回か競技させたり、シミュレーションを繰り返し実施したりするのは効率的ではなく、動作をプログラミングし、収束可能な動作エラーを想定/設計できる制御理論/技術を適用したほうが圧倒的に効率がよいからと推測します。*5この機械学習やAIといった分野はロボコンが開催されるようになる前から研究されていましたが、高専ロボコンに限ってみると、30年の間にそれらを取り入れて挑戦してみたところは幾つかあったのでしょうが、これからは積極的に多くのところで挑戦してみて欲しいと思います。

  • これまでよりもう一段階キネティックなロボットが見たい!
  • センサーを多用せずには課題の克服が難しかったり、対戦相手に勝ち難い競技が見たい!
  • 時流に乗ってAI/機械学習分野にも挑戦したロボットが見たい!

 今回第31回大会は上の三つのどれか一つでも促すように課題設定されていたら、現役生は大変だと思いますが、興味深い大会になると思います。*6

ルールアレンジ

 冒頭が長くなってしまいましたが、第3回のルールアレンジです。ゲームバランスが良かった感じがしていますので、アレンジの仕方が技術的な発展に伴うものになってしまいます。

歩行のみにする

 ボールの上は歩かなくてよいでしょう。ボールの上でも歩行するロボットが登場するのを期待しますが、それが実現できたら世界初の技術でしょう。*7もしボールの上を歩行しながら得点ゾーンに入れたら得点3倍でよいでしょう。

 スタートゾーンから歩かずに倒れてボールに乗っかろうとするアイディアを防ぐためにボールが置いてあるゾーンはスタートゾーンからロボットの制限高さより遠くに配置すべきでしょう。

ボールの移動はドリブルしか認めない

 バスケットボールを利用していたので、バスケットのルールと同様に、ドリブルでボールを運ぶのを基本とするルールです。第8回大会でバスケット・ドリブルをすると有利になるルールが採用されたことがありましたが、1回か数回挑戦するのではなく、常に必要とさせます。

 ルールの設定によるでしょうが、様々なアイディアや人間の腕を完全に模した精巧なものなどが搭乗するでしょう。完全に自動化のルールでもよいでしょう。
 

段差を高くする

 高専ロボコンのフィールドによくあるのが段差です。なくても良かった大会がありますし、競技発案者の若干の意地の悪さが垣間見えます。ダ3回の競技フィールドにも段差がありました。ルールはバランスが良かったと思いますが、競技フィールドは若干の修正をしたほうが面白かったかもしれません。この大会の後の第5回大会では段差というよりも筒になってしまいましたが、あそこまでの高さにせず、参加する学生が頭を悩ませるような絶妙な高さを設定すべきです。段差がもう1cm高かったら、優勝した玉乗り型のテト坊は得点できたでしょうか?ドリブルしながらだと越えられるでしょうか?

進入禁止・得点ゾーンの上に非情に邪魔な屋根をつける

 段差だけ高くしても玉乗り型が不利になるだけですから、クレーン型を考える学生にも悩んで欲しいということで得点ゾーンの上空に屋根を掛けます。競技上、撮影上、透けて見える材質で作られると思いますが、クレーンなどを吊るるためのワイヤーなどは制限を受けてしまうでしょう。また、形を歪にするというのもありでしょう。真っすぐで長尺なものを屋根とフィールドとの間に差し向けるだけでは得点できず、曲げないと得点ゾーンに辿り着けないような感じです。勿論、触れれば減点です。

*1:敢えて詳しくは書きません。

*2:そうした腕や脚を開発するにあたって所謂ロボティクス/ロボット工学の基本に触れることになるので、ロボット・コンテストに名に相応しい教育的機会となると思います。

*3:ABUのバドミントンの競技で中国代表チームや東大チームなどが関連技術を利用していたんでしたっけ?

*4:高専ロボコンでは、八代高専の「挑戦車」を含めた過去5代のロボットの画像処理はどうだったんでしょう?また、鈴鹿高専の「メルシー」や「エール」はどうだったのでしょう?

*5:因みに、ボストンダイナミクス社のロボットのうちAtlasかスポットロボットのどちらかはディープラーニングを利用せずに歩行などの動作を制御をしていると耳にしました。実施はどうやっているんでしょう?

*6:1999年第12回大会地区大会のようになる可能性はあるかもしれません。

*7:既にあるのかな?村田製作所の玉乗りロボットは二足歩行ロボットではありません。