高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

福井高専A Mr.イカフライ(ミスターイカフライ)

試合内容

地区大会

 初戦は2回戦第2試合、鳥羽商船高専Aチームの「TobaStar(トバスター)」との対戦であった。鳥羽商船のTobaStarが試合中自陣ポールに輪をいれるのに時間をとっていた間に、福井のMr.イカフライは開始35秒で自陣ポール3本、1分21秒で中央ポール3本を決め、リードを保ち、3対6で快勝した。

 次の試合は、3回戦第4試合、豊田高専Bチームの「YA・MA・TA(ヤマタ)」との対戦であった。自陣ポールに輪を入れる序盤、両チーム順調に輪を入れて35秒で福井が、39秒で豊田が3本を決め、同点の3対3となり、接戦となる様相であったが、豊田が突然動かなくなった。この間に福井は初戦と同様に1分24秒までに中央ゾーン3本を決め、3対6とリードを築いた。そして輪の装填のためにスタートゾーンへ。福井がスタートゾーンへ戻ったことで豊田はようやくリペアのためにスタートゾーンへ戻れた。豊田はスローゾーンへ戻ると福井に中央ポールに輪が決まり始め、福井に5対6と迫ってきたが、福井は試合終了間際から終了までに立て続けに相手陣ポール右に2連続で輪をいれて5対8と豊田を引き離し、勝利した。

 準決勝第2試合、優勝候補の一つである鈴鹿高専Bチームの「メカロン」との対戦であった。鈴鹿のメカロンに前の試合までのスタート直後のトラブルが起これば勝機はあったが、この試合だけメカロンにそのトラブルが起きず、福井が自陣ポール3本を決めてこれから追いつこうとしていた間に全ポールに輪を入れられてVゴールされ、福井のMr.イカフライは負けてしまった。

全国大会

 審査委員推薦を受けて、全国大会に進出した福井高専のMr.イカフライ(ミスターイカフライ)は、初戦の1回戦第9試合で、九州沖縄地区大会優勝の北九州高専「Wanna Be(ワナビー)」と対戦した。

 自陣ポールに輪を入れる序盤、若干だが北九州Wanna Beの方が速かったが、両者開始26秒までには3本入れて、3対3の同点とし、接戦の様相を呈してきていた。北九州のWanna Beが中央ポール2.5mに輪を入れれば、その直後に福井のMr.イカフライが中央3mに輪を入れるなど、開始1分前後まで福井は北九州の大きなリードを許さず、6対7。福井は相手陣ポール3本を残し、北九州は中央ポール1本と相手陣ポール1本の合計2本を残すという中盤の状況であった。

 福井側の輪が入っていないたった1本のポールに北九州の輪が入れられると北九州Wanna BeにVゴールを献上してしまうことも同然になるが、比較的輪を高く飛ばせられる北九州に対して何の防衛能力も持たない福井のMr.イカフライは相手陣ポールに輪を入れるしかなかった。輪が尽きかけようとしていたが、相手陣ポールに向かって何回も輪を飛ばした末に相手陣ポール左に輪を入れて7対7の同点としてみせた。

 北九州は、福井の様子を窺いつつ、6対7となってから全く移動せず、同点とされても相手陣ポール狙いをするだけであった。一方、福井は北九州が移動しないのを見て、Vゴール狙いから相手陣ポールでの加点に切り替えたのか、輪を放ち続けた。しかし、ここで輪が尽き、輪の装填のためにスタートゾーンへ戻らざるを得なかった。そして、ここが試合を決するポイントであるが、北九州が動かずに射出していた輪が福井側のポールに入ってしまった。7対8の上、北九州が残すのは中央ポール1本のみであった。北九州はスタートゾーンにいる福井が直ぐには出てこないのを確認したのか、中央ポールの正面まで移動して中央ポール2.5m右に輪を入れた。福井は北九州にVゴールされてしまい、負けてしまった。

 アピールタイムは続いたが、北九州Wanna Beの防御装置「花守」の回転は止まっていたものの、ポールの前に立ちふさがっていたため、Vゴールは出来ず、得点も8点で試合を終えた。

 輪がもう何本かあったら、8対8の同点に持ち込んで、どちらが先にVゴールできるかを競えたかもしれない。

福井高専A Mr.イカフライ(ミスターイカフライ) 画像URL

東海北陸地区大会 出場校テータチェック ページより

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特徴

  • 移動システム:四輪メカナムホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:ゴム
  • 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(自陣)x1
  • 射出装置2:エアシンリダ押出カタパルト(オーバースロー型)(中央・相手陣)x1
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:ゲームパッド
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:なし

射出装置

 Mr.イカフライには、中央・相手陣ポールを狙う装置として、圧縮空気をエネルギー源にしたエアシリンダーの伸張で投石器のようなオーバースロー型の腕を振る機構が採用されている。腕の先端に引っ掛けて輪を飛ばすが、輪は何回転もピッチングしながら飛んでいく。一見すると、輪が入り難いと思いたくなるが、輪が飛んでいき、その先端がポールの先端あたりに触れるか触れないか程度の位置にあれば、先ず先端がポールに引っかかり、そしてピッチ方向の慣性で後端がポールを跨ぎ、ポールに確実に輪が絡み、輪が入る。他のチームが殆ど採用しなかった輪の飛ばし方・飛形であり、偶然かも見つけたのかもしれないが、逆転の発想とでもいうべきアイディアで「案外入る」と信じた福井高専Mr.イカフライの開発チームには賛辞を送りたい。

 自陣ポール用の輪の射出装置も精度100%だったことから、大会開催日がもう少し遅ければ、達成速度はさておき、容易にVゴールが可能なロボットに仕上がっていたかもしれない。また、距離センサーなどを搭載する予定は無かったのだろうか?

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/54/Flight_dynamics_with_text.png

出典:ウィキペディアの執筆者. “ピッチング”. ウィキペディア日本語版. 2015-05-16. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B0&oldid=55553752, (参照 2016-03-30).