高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

木更津高専B 玉輪(タマリン)

 高専ロボコン第30回大会という記念すべき大会を2年後の2017年に控えています。その年に国技館が改修されることが明るみになったのは丁度1年前の2015年4月のことでした。報道によると大相撲以外には貸し出さないことが決定されたそうですので*1、第4回以降国技館で全国大会を行ってきた高専ロボコンは記念すべき大会を他の施設で行うこととなるのでしょう。

 代替施設として真っ先に「挙げて欲しい」のは、全国62校のチームを一箇所に集めて全国大会が行われた実績がある、NHKからも近い、国立代々木競技場の第一体育館です。第30回大会を記念大会とし、過去の大会に触れるには相応しい会場の一つと思いますが、この施設には2016年問題があります。しかも2017年から改修が始まるそうです。

 2016年問題というのは、2020年の東京オリンピックに向けた改修や建て替えが集中して首都圏での催しものが実施し難くなる問題のことです。国技館程度の施設を借りることも非常に難しいようなのです。既に様々な催し物の開催に影響があったようです。

 番組企画・制作を行っているNEPは既にどこかの施設利用の契約まで済ませていることでしょうが、まだ決まっていないのなら他の候補として「挙げて欲しい」のは、ABUロボコン前のロボットコンテスト大学部門世界大会時代によく使われた大阪府堺市の「堺市金岡公園体育館」、そしてABUロボコンの直前の三年間だけ使われた福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」です。郡山の会場は一度だけ訪れたことがありますが、ロボコンをするには十分に広かった気がします。

 また、日本の(工業)ロボット生産三大産地である、山梨県、愛知県、福岡県の大きめな施設も候補ではないかと思います。例えば、北九州メディアドームは映像・音響、無停電設備まで整っていて番組収録にも向いているんじゃないでしょうか。関東・近畿・東北以外でNHKが関係する全国大会規模のロボコンが開催されても良いのではと思います。

試合内容

 初戦は、2回戦第2試合。都立産技高専荒川キャンパスBチームの「わんちゃん丸(ワンチャンマル)」と対戦した。荒川が試合終了まで全く動かなかったおかげで木更津が勝てたと言ってもよい試合であった。

 木更津はスタートゾーンを出ると直ぐにスタートゾーン側の自陣ポールに輪を入れようとしたが、ポール頭部に輪が乗ってしまった。それ自体は偶に起こることで珍しくもなかったが、次こそ入ると思って輪を放つも、搭載していた自陣ポール用の輪が全て載ってしまった。30秒で輪が4つもポール頭部に乗ってしまうという珍事を起してしまったのだった。

 輪を再装填し、まだ挑戦していない他の自陣ポールを狙うとすんなり入った。そして問題のポールに挑戦すると、5つ目の輪が乗ってしまった。乗っている輪が邪魔になり、もう無理かと思われたが、諦めず輪を放つと入った。ここまで2分46秒。そして試合終了を迎えて木更津の勝利となった。

 続いて準々決勝第2試合都立産技高専品川キャンパスBチームの「一点突輪゚(一イッテントッパ)」と対戦した。木更津は開始22秒で0対3と初戦の珍事が嘘のように自陣ポール3本に輪を入れてリードし、中央ポールを狙い始めたが、全く入らない。一方で品川の一点突輪゚にジワリと得点を重ねられ、試合中盤、まさに折り返しあたりで追いつかれて3対3の同点とされた(1分23秒)。

 木更津は中央ポールを諦めて相手陣ポールを狙うと左に決まって品川を引き離したのも束の間、品川に中央ポール2.5mの左右を立て続けに決められ、逆転されてしまった。このとき2分18秒。木更津はちょうど輪切れを起し、一発ずつスタートゾーンでの装填と射出を繰り返すが、同点に追いつこうと何度も行ったり来たりを繰り返すが追いつけず、5対4で品川に負けてしまった。

木更津高専B 玉輪(タマリン) 画像URL

関東甲信越地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

特徴

  • 移動システム:四輪メカナムホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:重力
  • 射出エネルギー源と格納方法2:金属製コイルバネ+二次電池
  • 射出装置1:自由落下式離輪機構カタパルト(自陣)x4
  • 射出装置2:金属コイルバネ引張弾性利用カタパルト(アンダースロー型)(中央・相手陣)x1
  • 射出装置3:V型投射機構カタパルト?
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:wifi?(2.4GHz?)
  • コントローラー:ゲームパッドスマートフォン利用モニター
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:自陣ポール用射出装置の辺りまで白いマンとのようなものがある

射出装置

 自陣ポールへの輪の射出に、輪を自由落下させるだけの簡易な機構を採用している。水平方向には、畳んだゴムホースが拡がるときの弾性力を利用して輪を移動させている。試合では5つもポールに「乗せて」しまったが、会場の室温がテストラン時よりも高くなって弾性力が低下したのかもしれない。それは設計時に考慮されていなかったのだろうか?

 中央や相手陣ポールへは、この大会では珍しいアンダースロー型の機構を採用している。また、装填装置は、クローズアップされていないので詳しくはわからないのだが、扇形のステッピングモーターで制御された輪倉(マガジン)から1つの輪ずつ、アンダースローを行う腕の先端の輪を掴むハンドに渡される仕組みのようだった。映像を見る限りでは装填で失敗しておらず、試合で積極行動できる速度で作動していたので、設計と製作が上手くいっていると思う。また、射出時にハンドを開かなければ輪が飛び立っていかないのだが、機械式で自動的に開くのだろうか?

 出場校データーチェックのページには「畳んだ布を一瞬で張ることで輪を投射するV型投射機構」とあるのだが、そういった機構がどこにあるのか見つけられない。ひょっとして、玉輪の頭が割れて投射されるのだろうか?

その他

 アンダースロー型で輪をピッチ回転させながら飛ばすオニオンリングがテーマの玉輪には全国大会に出場して、東海北陸地区大会から全国大会に進出したオーバースローで輪をピッチ回転させながら飛ばすイカリングがテーマの「Mr.イカフライ(ミスターイカフライ)」と対戦して欲しかった。似たようなテーマ・技術を持つロボット同士の対戦は興味深い。

 ところで、玉葱は木更津の特産品・名産品なのですか?

*1:検索すれば情報ソースはそこかしこにあると思います。