沼津工業高専A 桜乱吹雪(サクランフブキ)
囲碁の世界チャンピオンに3連勝してしまうなど、最近の人工知能技術が次の段階に入ってきたように思います。私も20年以上前にニューラル・ネットワークという、最近の人工知能技術で大きく取り扱われるディープ・ラーニングの基礎の一つを成している技術に触れたことがありました。当時はコンピューターの処理速度や扱える情報量の少なさの問題で精度が良くなかったこともあり、「こんなもんなんだろう」という感想はありましたが、適用方法を工学的手法で工夫すれば絶大な効果を生むことがあり、品質管理や不良品検査などに応用された例は少なくありませんでした*1。
- 作者: フィリップ・D.ワッセルマン,Philip D. Wasserman,嘉数侑昇,森川一,古川正志
- 出版社/メーカー: 森北出版
- 発売日: 1998/11
- メディア: 単行本
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人間がプログラミングした動作を実行するロボットは、高専ロボコンではこれまで多くのチームが実現してきましたし、一昨年には完全に自動化された、試合に勝ったロボットが登場しました*3。これからはより一層そういうロボットが増えることでしょう。
そういうロボットが増えきてより技術的に高度なことに挑戦したい・させたいのであれば、第一段階としては、人工知能を持ったシステムを各チームが作らなくても、例えばIBMのWatsonとソフトバンクのPepperのように、 主催者側が人工知能と何らかのインターフェースを用意し、各チームがそのインターフェースを介して人工知能を利用してロボットを動かす・判断させるという課題・ルールを考えてもよいでしょう。ロボットを作る学生だけでなく、ロボコンを主催する側*4、番組として成り立たせる側にも挑戦的なことになるでしょうが、一考の価値はあると思います。
試合内容
初戦は1回戦第3試合。岐阜高専Bチームの「Quoits Zwei(クオイ ツヴァイ)」との対戦であった。何度も自陣ポールに向けて輪を飛ばすが、全く入らず、岐阜に0対5で負けてしまった。
チャレンジングな機構・部品を採用していたので一つでも入れて欲しかった。テストランでは入っていたのだろうか?
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特徴
- 移動システム:未確認
- 射出エネルギー源と格納方法1:ゴム
- 射出エネルギー源と格納方法2:圧縮空気(ペットボトル)
- 射出装置1:ゴム引張弾性利用カタパルト(オーバースロー型)(自陣?汎用?)x1
- 射出装置2:人工筋肉収縮利用サイドスロー(汎用)x1
- 照準/測位システム:なし(目視)
- 通信システム:未確認
- コントローラー:ゲームパッド
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:なし
人工筋肉
ひょっとして、アクチュエーター(駆動装置)に空気圧式の人工筋肉が使われたのは高専ロボットではこのロボットが初めてだろうか?*5沼津高専の「桜乱吹雪(サクランフブキ)」は二つの空気圧式人工筋肉を時間差で縮めて*6人間のサイドスローのように輪を投げる。
試合で飛ばした輪の飛形が安定していなかったので、人間でいうと手にあたる部分を改良すれば輪がポールに入りやすくなったのではないと思う。それとも、この人工筋肉を使った構造では輪にあのような揺れが生じてしまうのだろうか?*7