高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

沖縄高専A 機械熊蟲(メカニックマムシ)

 早速、2015年第28回大会『輪花繚乱』に出場したロボットを、独断と偏見を含ませながら、南から北へ一台ずつ詳しくみていきます。最初が肝心な場合が往々にしてありますが、後から情報を追加修正する方針です。先ずは九州沖縄地区大会に出場した沖縄高専の「機械熊蟲(メカニックマムシ)」です。

 ロボットの名前に含まれている「クマムシ」が相当可愛くデフォルメされてロボットの中央に鎮座しています。アルミ角材で骨組みが組まれた角ばったロボットに愛着が湧くような装飾です。クマムシといえば昨年「あったかいんだからぁ〜」でブレイクした二人組の芸人を思い出す方が多いと思いますが、過酷な環境に地球上で最も耐えられる緩歩動物のクマムシです。分からない方の為にクマムシの画像を張り付けましたが、虫の類が苦手な方は続きを読まない方が良いでしょう。

8本脚お小さな生物を想像してください

参考:クマムシ

出展 karapaia.livedoor.biz

1点しか取れなかったけど

 成績は初戦敗退。その初戦、2分前後に1点しか得点できず、動きの良さから優勝候補の一角と目された都城B「進め!みやこのゾウ(ススメ!ミヤコノゾウ)」に先にVゴールを決められ、その後も性能披露の為に試合を継続するも加点できずに試合は終了。奇しくも高専ロボコンでは珍しい女性操縦者同士の試合だったのと、試合直後の負けたチームの操縦者へのインタビューで後輩に捲土重来を期待していたので、悔しさが滲みでているように感じました(テストランではもっと得点できていたのかな?)。先輩の思いを受け止めたであろう後輩に期待。全国制覇経験があるんだからポテンシャルは高いはず。

沖縄高専A 機械熊蟲(メカニックマムシ) 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

閑話休題

 既に公開されている情報や映像で足りるような情報ばかりの前段が長くなってしまいましたが、このブログの目的の一つであったロボット自体の詳細を次の項目で簡単に分類してみました:

  • 駆動装置:四輪メカナムホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(ペットボトル)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:ゴムと二次電池
  • 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(オーバースロー型)
  • 射出装置2:ゴム引張弾性利用カタパルト(航空母艦型)
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:なし
  • 妨害装置:なし
  • その他:稼働中の射出機構などをLEDライトの明滅などで明示
駆動装置

 駆動装置は四輪メカナムホイールが採用されています。前回大会で圧倒的な性能で全国制覇し大賞も受賞した熊本高専八代キャンパスの「本気の宅配便(マジノタクハイビン)」が利用していた駆動装置でもあります。彼らの活躍が影響して採用に至ったのではと推測しています。そのように考えるのは、このブログを始めるにあたって全てのロボットの駆動装置などを事前調査した結果、まだ正確な集計はしていませんが、前回に比べて多くのチームが採用していたからです。採用に至る経緯は他のロボコン関係者に仄かに期待するとして、いずれこの駆動装置については調べてみたことや疑問に思っていることを書こうと思います。

 メカナムホイールが自作か既成品かも気になります。ちょっと検索してみると、荷重などの条件にも依るでしょうが、高専ロボコンに最適そうな直径10cmまでのメカナムホイールは1個3000〜8000円ぐらいで購入できるようです。ゴム部品の曲面も、そのゴムを通す軸を車軸に対して45度に傾けて通すことからも、相当の精度が必要とされ、製作に多大な労力が割かれてしまいそうになるのが想像できるので、おそらく既成品利用ではないかと思います(違っていたらごめんなさい。正確な情報を寄せてください。)

 ところで、高専ロボコンで「メカナムホイール」を最初に採用したチームはどこでしょうか?

エアシリンダ押出カタパルト

 自陣ポール用の輪の射出装置です。ペットボトルに詰めた圧縮空気をエアシリンダに送り込んでオーバースロー型のカタパルトを動かします。試合では1点しか決められず、調整不足だったのかもしれませんが、装填装置も良く動いていたと思います。また、恐らく射出の角度と速度は固定されていたのではないかと思います。

 試合後にインタビューを受けていた恐らくチームのリーダーが圧縮空気の利用技術をチームが会得したと表明していましたが、開校間もない頃から強いチームを送り出してきた印象の為に意外に思いました。(映像で確認してみよう。)

 ところで、ペットボトル、気体、エアシリンダを最初に利用したチームはどこだったんでしょう?色々ありそうですね。

ゴム引張弾性利用カタパルト

 残念ながら動作が見れなかったのでよくわかりません。恐らく2次電池をエネルギー源とするモーター駆動の装置でゴムを引っ張っておき、輪をカタパルトの上においたらトリガーを外してゴムの弾性力を利用して射出する機構ではないかと思います。航空母艦型と言えるでしょう。装填装置にあるだけの輪を連射できるできるようです。装填速度はどのくらいだったのでしょうか?

 輪の装填装置は、恐らく、突起のついたベルトを利用したものだと思います。突起に輪をかけておき、装填が必要になったらベルトを回転させ、装填装置の端から輪をカタパルトに落下させるのでしょう。

 射出の角度はカタパルトの構造から調整出来そうに見えますが想像の域をでません。また速度に関してもゴムの引っ張り長さで調整できそうですが、これも想像の域をでません。

目視で狙い撃ち?

 射出位置の調整は目視で行っていたように見えました。侵入禁止のフェンスにロボットをあてるか付近に寄せて凡その位置合わせを行い、そこから微調整をしていたように思います。ヨー軸方向(ポールに向かって前後方向)の後ろにしか下がれないので、予め輪の射出軌跡を若干高く長く設計してあるのではないかと思います。

通信システムが全く推測できない

 私が高専ロボコンに参加していた頃はコントローラーからの信号は有線接続でロボットに伝えることがルールになっていました。高専ロボコンで赤外線やラジオ無線などを利用した無線通信システムが使えるようになってから久しく、また最近は様々な種類の周波数帯も利用可能になっていて、無線に詳しい方でも試合中のロボットとコントローラーを一瞬見ただけでは種類と詳細なことは分からないようです。

 混信などの苦労があるかもしれませんが、番組視聴者としてみていると無線システムによって試合内容・結果が左右されいてる感じもなく、ロボット全体としての性能のボトルネックになっているとも思えないので(ちょっと前までは大変な苦労があったようです)、不明であれば不明なままで良いと思っています。情報があれば寄せてください。(xbeeとか920MHz帯ではないのかな?)

その他

 ロボットが何をしている最中なのかLEDを光らせて操縦者以外にも知らせておくのは良いアイディアですね。回路を工夫すれば失敗・故障箇所が直ぐに分かって、リトライ時に効果を発揮するかもしれません。

思いの外長くなってしまった

 最初というのもあるし、分からないことをはさみながら、適切な情報の粒度を徐々に決めていこうとしているので、こんなに長くなってしまいました。番組映像やネット上の情報だけでは分からないことが多いです。限界が見えます。それだけ最近の高専ロボコンが複雑で高度になってきたということでしょうか。