高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

沖縄高専B ポールオブザリング

 沖縄高専Bチームの「ポールオブザリング」は、九州沖縄地区大会の2回戦から登場したのに何の因果かまたもや都城(Aチームのうり棒ブラザーズ)との対戦となり、得点もあげられず、2:14秒でVゴールを決められ、初戦敗退した。今地区大会優勝候補の一角である都城に圧倒され、1大会で2敗もさせられたら、私だったら三日以上は意気消沈してしまうかもしれません。

沖縄高専B ポールオブザリング 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

 前回同様、各要素を分類してみましょう。

  • 駆動方式:同位相四輪操舵四輪駆動
  • 射出エネルギー源と格納方法1:バネ?(+2次電池)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:実装されていない?
  • 射出装置1:不明(何かの弾性力を利用した航空母艦型カタパルト?)
  • 射出装置2:実装されていない?
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:なし
  • 妨害装置:なし

同位相四輪操舵

 都城A「うり棒ブラザーズ」との対戦は、操舵機構が同じで駆動輪の数が違うという、ある意味注目すべき試合でした。ポールオブザリングは四輪操舵システム、英語にすると"4WS(4 wheel steering) System"を採用していて、四輪全てを操舵に使い、同位相という全ての車輪が同じ方向を向かせるものでした。そして四輪駆動でもありました。一方、うり棒ブラザーズは同じような車輪の舵取り機構を用いて二輪だけで操舵と駆動を行い、他の二輪は補助輪でした。字面だけをみるとポールオブザリングの方が速そうだし、妨害の為に置かれた相手の輪も苦にしないタフな機構だと思わせられますが、今大会の様にロボット全体のパフォーマンスが要求される場合には、残念ながらポールオブザリングの駆動・操舵方式の威力は発揮できなかったように思います。うり棒ブラザーズの方がキビキビ動いていて目が奪われてしまいました。まるで大型四輪駆動SUVがノロノロと走行しているところを尻目にFFハッチバックが細い路地の曲がり角を素早く曲がっているようでした。

左が逆位相、右が同位相

出典:ウィキペディアの執筆者. “四輪操舵”. ウィキペディア日本語版. 2015-10-07. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%9B%9B%E8%BC%AA%E6%93%8D%E8%88%B5&oldid=57098156, (参照 2016-01-03).

 あらゆることを加味してOR(Operation Research)などの手法で詳細に解析したとしても*1、私個人の直感的にも、四輪メカナムホイール、または四輪・三輪のオムニホイールの方が今大会には最適であるとは思いますが、そこを敢えてこの駆動・操舵システムを採用した理由が知りたくなりました。なんでだろう?

 信号レベルで四輪操舵が独立しているとしたら、瞬時に逆位相にも、微妙な操舵角の調整も出来そうですし、試合直後のインタビューでも良い物が出来たので開発を続けていくとのことで、今後に期待します。

 ところで、「同位相」の四輪操舵システムを高専ロボコンで初めて採用したと言っていいのは、第3回大会ニュートロン・スターでの仙台電波高専(現仙台高専広瀬キャンパス)の「テト坊」なのか、第4回大会ホットタワーでの有明高専の「はこもてぃ」なのか、はたまた他にもあるのか、どうなんでしょう?

射出装置1

 試合で自陣ポールに輪を入れようとしていたときに使われていた射出装置です。装填装置からカタパルトに輪を落としてから、金属バネかゴムを2次電池がエネルギー源のモーターで引っ張っり、蓄えた弾性エネルギーを使って輪を飛ばしていました。引っ張っていたものが金属バネなのかゴムなのかわかりませんでした。また、装填が本当に輪を落としてから金属バネかゴムを引っ張っているのかどうかも確かめたいところです(それだと遅くない?)

 射出機構と本体の接合部分に軸が、その二つに挟まれた空間に1本の支柱があり、おそらく発射角度が変更可能なのでしょう。リペアや輪の補充時に手動で行うのか、コントローラーから調整できるのかはわかりませんでした。射出の仰角を固定しているチームが多い中、調整の自由度をあげようとしていた点には感心します。

 装填装置が、カタパルトを支える支柱よりも射出方向側にあり、射出直後でなくても移動をするたびに加振され、1次振動モードで常にカタパルトが上下方向に揺れているように見えました。自陣ポールに入らなかった原因の一つでしょうか?

射出装置2

 出場校データチェックのページには射出装置が二つ搭載されていると記してあるんですが、そのように見えません。ひょっとして重量制限のために取り外したのでしょうか?

穴抜きダイエット

 Aチームにもフレームのアルミ角パイプに何個もの穴が開けられていましたが、Bチームにも駆動装置のあたりに穴が多数ありました。私もフレームに穴をあけてロボット重量のダイエットをしたことがあります。減らせる量が計算できてしまうので費用(作業量)対効果も分かるのですが、効果の多少に依らず、追い詰められていると穴を開けてしまうと思います。でも、多くの場合窮地を救う程には減りません。構造を再検討した方が良いでしょう、時間があれば。

*1:何故機械的な解析「だけ」ではなくORなのかは、予算、効用なども考慮し、ゲーム理論なども駆使して、大局的な判断が必要とされるからです。