富山高専射水キャンパスA ドルフィンドール(ドルフィンドール)
試合内容
初戦は1回戦第1試合。豊田高専Aチームの「回すよ!!!chicken 龍太郎(マワスヨ チキン タツタロウ)」と対戦した。自陣ポールの序盤から試合時間の中盤まで、射水のドルフィンドールは豊田にリードされたが、1分53秒にようやく自陣ポール3本目を決めて3対4とすると、そこから中央ポール2.5m右に決めて同点に追いついた。試合終了直前に、慎重に射出位置を調整していた射水が中央ポール3mに輪を入れ、5対4で勝利した。
2回戦第5試合。沼津工業高専Bチームの「やぶさめちゃん」と対戦した。試合開始直後から30秒ほど両者スタートゾーンから移動できずにいたが、射水のドルフィンドールは輪の装填を忘れていたのか、それを終えてからスローゾーンに飛び出していった。沼津が全く動かないのとは対照的に射水は着々と点を入れていき、0対5で勝利した。
3回戦第1試合は同じ高専のもう一つのキャンパスである、本郷キャンパスBチームの「射輪士(イワシ)」と対戦した。序盤の自陣ポールで本郷にリードを許したが、その本郷は2本目を失敗して輪の補充のためにスタートゾーンへ戻っていった。その隙に射水のドルフィンドールは逆転に成功し2対3(59秒)とし、中央ポールでさらにリード広げようとしたが、本郷の射輪士も直ぐに追いついて3対3となった。ここから暫く両者は中央ポールに入れようとするが、入らず、入った方が勝つような雰囲気に成り始めた。そして試合終了間際、射水が3mポールへ輪を放つとそれまで入らなかったのが嘘のようにポールに輪がまとわりついて落ちていき、試合終了。3対4で射水が勝利し、まさにイルカがイワシを食らった格好となった。
準決勝第1試合。福井高専Bチームの「福輪来(フクワクル)」と対戦。終始接戦となった。開始41秒、自陣ポールで2対2で並び、1分3秒で3対3と再度同点と、お互い2点差以上のリードを許さず、追いつく展開になっていく。最初に福井が中央ポール3mを決めれば、すぐに射水が中央ポール2.5m右に決め、次は福井が2.5右、その次は射水が2.5m左にと輪を入れ(1分29秒)、再び同点の5対5となり試合の半分を折り返した。後半直ぐに福井に中央ポール2.5m左に決められ、5対6とリードされ、射水は試合の主導権をとられてしまった。だが、射水は諦めずに中央ポール3mを狙った。射出位置をこれまでの試合よりも慎重に調整し、若干前に出て射出し、一発で輪を入れることに成功した(2分15秒)。だが、同時に福井も射水側のポールを決めたために、リードされたままの6対7となり、主導権を福井から取り上げられないでいた。射水は相手陣のポールに入れるしかなかったのだが、射水が入れようとしているポールの前に福井が立ち塞がった。一度輪を飛ばしてみたものの、入らず、次の輪も装填が間に合わず時間切れとなり、6対7で射水は負けてしまった。
途中で相手陣ポールに輪を入れ続ける戦略に切り替えたら、ひょっとしたら勝てたのかもしれない。
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特徴
- 移動システム:四輪メカナムホイール
- 射出エネルギー源と格納方法1:二次電池
- 射出エネルギー源と格納方法2:ゴム
- 射出装置1:押出式カタパルト(自陣)x3
- 射出装置2:ゴム引張弾性利用カタパルト(オーバースロー型)x2
- 照準/測位システム:なし(目視)
- 通信システム:未確認
- コントローラー:ゲームパッド
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:自陣ポール用の射出装置がその代わりとなる
射出装置
自陣ポール用射出装置
弾性力で装置に挟まっているホースを無理矢理モーター駆動の装置で押し出し、自由落下させて、自陣ポールに入れる。高い位置から落下させるために垂直に伸びた何本かのアルミ角材の構造体の上にこの射出装置は三つ並んでいるため、自陣ポールを守るための防御壁として代用できるようになっている。また各種装置も輪を当てられても壊れないように簡素で頑丈に作られているように見える。
中央・相手陣ポール用射出装置
投石器のような構造の腕があり、回転軸付近にはエネルギーを蓄積するためのゴムが張られており、輪と接する付近には紐が結わえられている。この紐を二次電池をエネルギー源とするモーター駆動の装置で引っ張り、根元のゴムを引っ張って弾性力として輪を飛ばすエネルギーを蓄えさせている。腕を引っ張っている間、装填装置は閉じていて、引っ張り終わると装填装置が観音開きのように開いて輪が腕と接する所定の位置に固定されて射出準備と装填動作の終了となる。装置は左右二台あり、二連射が可能だが、ゴムにエネルギーを溜め込むための腕を引く時間が長いので次の二連射までの時間が掛かってしまう。
ユニークな機構を採用しているが、中でも興味深いのが、装填装置に輪が洗濯バサミで固定されていることである。地区大会番組の解説では、洗濯ばさみで固定せずに輪に腕を半ばぶつけるか、腕においたまま放り投げるだけでは、中央ポール3mの高さに届かなかったり、相手陣ポールまで届かなかったりしたそうである。しかし、洗濯バサミで固定してた輪に腕を半ばぶつけるような形でそのまま放りなげると、高さも飛距離も増したという。このことに気づいたチームは全国にどれほどあったのだろうか?*1
輪の到達高さ・飛行距離が増したということは、洗濯バサミを利用する前は、ゴムに貯めたエネルギーが有効利用されていなかったと考えてよいのだろうか?ピッチャーが居ない野球、ティーボールで、バットで静止している球を打つようなもので、撃力(力積)と反発係数を考えないといけないのだが、直ぐに物理的な関係が思いつかないので、後日考えてみる。
*1:圧縮空気が使えない、そして電力・電力量制限があった時代であれば、勝利するのに有用なアイディアにとして扱われたに違いない。