高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

豊田高専A 回すよ!!!chicken 龍太郎(マワスヨ チキン タツタロウ)

 この10年に限ると、例年、四月下旬の初めぐらいに高専ロボコンの課題が発表されますが、高専ロボコンのファンの中には観戦するだけではなく、課題を予想するのも楽しみの一つとしている方もいるでしょう。私もその一人です。今日から、記事の冒頭に勝手な課題予想をしていきます。

 当たらなくても良いのです。想像することが楽しいのですから。次のうちのどれかが例年よりも深く関係してくるんではないかと想像しています:

  • ロボットアーム
  • 人工知能
  • 無線技術/有線技術

試合内容

 第28回高専ロボコン東海北陸地区大会の1回戦第1試合は、全国の地区大会の中で最初の試合であり、豊田高専Aチームの「回すよ!!!chicken 龍太郎(マワスヨ チキン タツタロウ)」の初戦であった。対戦相手は富山高専射水キャンパスAチームの「ドルフィンドール」で、インターネット・ストリーミングで中継されていることもあって、両者とも緊張していたに違いない。

 自陣ポールに輪を入れる序盤は豊田ががリード気味に展開。お互い1本外して45秒で2対2の同点となるが、豊田は1分7秒に先に自陣ポール3本に輪を入れ2対3とし、直ぐに中央ポールを狙いだした。

 中央ポールへは何回か輪の連射が可能であったのが幸いしたのか、豊田は1分43秒に何回目かの挑戦で中央ポール3mに決め2対4とした。しかし、この後またずっと輪がはいらない。

 1分53秒に射水が自陣ポール3本を決め3対4とし、中央ポールを狙い始めだした。2分8秒に射水に中央2.5mを決められ4対4の同点、そして試合時間終了間際の2分55秒に中央ポール3mを決められて逆転され、豊田は負けてしまった。

豊田高専A 回すよ!!!chicken 龍太郎(マワスヨ チキン タツタロウ) 画像URL

東海北陸地区大会 出場校テータチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

特徴

  • 移動システム:四輪オムニホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:金属製コイルバネ
  • 射出エネルギー源と格納方法2:圧縮空気(ペットボトル)+ゴム
  • 射出装置1:圧縮金属製コイルバネ開放時弾性利用カタパルト(自陣)x3
  • 射出装置2:ゴム引張弾性利用カタパルト(パチンコタイプ)(中央・相手陣)x1
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:未確認
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:なし 

自作オムニホイール

 移動システムの駆動輪にオムニホイールを採用している。出場校データチェックのページによれば自作したとのこと。自作自体は珍しいことではなくなったが、何のために自作したのであろうか?

 豊田高専Aチームは伝統的に機械工学科が主体のチーム体制をとってきている。既製品のオムニホイール、それを駆動するギアードモーターを組み合わせた装置の性能を変えたい場合、モータードライバーといった電力供給回路・電子回路を工夫せざるを得ない。機械工学科が主体のチームなのだから、回路で工夫するよりも機械部品を設計した方が得意であろう。憶測になってしまうが、自由な大きさのオムニホイールを設計・制作が出来るようにノウハウ蓄積のためもあったのではなかろうか?*1

射出装置

自陣ポール用射出装置

 射出するとき、圧縮された金属製コイルバネを開放し、その高速な伸張で輪を押し出す機構を採用している。全国的にも珍しい機構ではないだろうか。ただ、トリガーを引くのにギヤードモーターを一つ割り当てているのが気になった。もっと軽くて簡単なソレノイドを利用したほうが楽ではなかっただろうか。駆動回路的には恐らく同じものでよく、機械部品は減らせる。数N(ニュートン)程度ではトリガーを引くことはできない装置だったのだろうか?

中央・相手陣ポール用射出装置

 この装置の輪の装填方法、ゴムの伸ばし方はユニークである。装填装置に載せられた輪を動かさずに、輪を押し出すゴムを伸ばす装置をエアシリンダーを使って押し出している。エアシリンダーが伸びると、最初に輪に接する方がひっかかって固定され、さらに伸ばしていくとゴムを伸ばすもう一方が伸びていく。輪に接する方を開放すれば、輪が飛んでいく仕組みである。 輪を6つ保持できる装填装置への輪の装填の仕方もユニークである。輪を一回転捻ってアラビア数字の8のようにし、出来た二つの輪を重ねるように折りたたんで元の輪の大きさの凡そ半分の大きさに格納して装填している。輪の格納・折り畳みの仕方は幾つかあったが、精度に関してはどれが優れていたのであろうか?

*1:実際はどうだろう?