高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

熊本高専八代キャンパスA 八代の動く城(ヤツシロノウゴクシロ)

ロボコン

 ブロググループを作ってみました。直上のリンクから辿れます。こちらのブログシステムにはロボコンのグループは無かったんですね。

特徴

 初戦は有明高専Bチーム の「投っ人(ナゲット)」に終始リードを許さず快勝。続く2回戦では3本掛けが何回もできる大分高専Bチーム の「Golgoole(グルグール)」に序盤リードされていたのを追いついて逆転するも、2本掛け、3本掛けを立て続けに決められ19対5で負けてしまった。だが、自動で移動させるなどの機能に光るものがある。

熊本高専八代キャンパスA 八代の動く城(ヤツシロノウゴクシロ) 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

  • 移動システム:四輪オムニホイール(十字配置)
  • 射出エネルギー源と格納方法1:ゴム(ペットボトル詰の圧縮空気は自陣ポール射出装置の衝撃緩衝用のエアシリンダーを利用したストッパー用)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:2次電池
  • 射出装置1:ゴム引張男性利用カタパルト(航空母艦型)(自陣ポール)x3
  • 射出装置2:2軸1モーターの挟み型ローラー(横挟み)(中央・相手ポール)x2
  • 照準/測位システム:PSDによる自陣ポール中央台座位置の検出(主として自陣ポール狙いのため?)、自陣ポール以外はなし?(目視)
  • 通信システム:Bluetooth
  • コントローラー:ゲームパッド(Dualshock3とその専用モジュールのSBDBT(Bluetoothモジュール))
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:台座の自陣の真ん中のポールの台座の前まで自動移動

  • 妨害装置:なし

1つのモーターで2つのローラーを回転させる意味

 射出機構にローラーを採用したチームの多くは1つのローラーに対して1つのモーターを割り当てていて1つの射出機構に2つのモーターを搭載しているが、このチームは1つのモーターで2つのローラーを回転させている数少ないチームである。ローラー型の射出機構が二つあるので、軽量化を狙ったのかもしれないが、射出機構が2つ以上あるチームでローラー毎に1つのモーターを割り当てているチームもあったので、軽量化ではない別の意図があるのかもしれない。ひょっとすると1つのモーターにしたほうが回転数制御と精度との関係の上では有利なのかもしれない。精度の高い高弾道射出で準優勝を手にした高松高専の「Beehive(ビーハイヴ)」も1つのモーターで2つのローラーを回していた。これについては後に詳しく考察してみたい。

PSD

 今回の九州沖縄地区でAB両チームで合計4勝は、活躍した都城や優勝した北九州と並ぶ。これらの並んだ中では照準・測位システムで高度な挑戦をしているのが八代の両チームである。AチームはKinnetを使って照準システムを開発したが、BチームはPSD(Position Sensitive Device)という光学センサーを使って、自陣ポールの中央の台座までの位置を常に検出しながら設定していた位置にロボットが来るまで自動的にロボットが移動するシステムを作っていた。

 PSDの詳細は他に譲るが*1、光を照射して対象物体から反射してきた光を受光レンズを通してPSD上に集光させると、PSDからその集光位置に対する出力が2つ得られ、その2つの出力バランスから演算によって位置・変位量が得られる。受光した光の光量に関係なく位置の測定が可能であることから、撮影時の照明などに影響されない測位システムを作ることが可能となる。

 最近の高専ロボコンでは画像認識などを使ったシステムを搭載することが多くなってきたが、照明の光の強さによって正常に動作し難いことがあった*2。こういうPSDのような素子を使って簡単に済ませるのも良い方針だと思います。

 ところでレーザーやPSDなどの光利用素子をそれぞれ初めて使ったロボット・チームはどこなんでしょうね?レーザーポインターは第7回のときの旧航空高専(現産技荒川)でしたっけ?

追記

 記事がおかしなことになっていました。編集しなおしました(2015年1月9日)。

 距離・位置・変位センサにはPSDの他にCMOS/CCD方式もあるようですが、PSDを用いたセンサは最長5m程度の距離に対応できるものが数千円で販売されていて*3、おそらくCMOS/CCD方式のものより安く、予算の関係からPSDを選択したのかもしれません。また、PSDは色の変化に弱いということを耳にしましたが、試合開始序盤の台座が相手の色に点灯するまでに相手は3本の自陣ポール全てに輪を入れないと相手陣ポールに輪を入れられないルールなので、それが完了するまでには真ん中のポールがある台座付近まで移動できると考えたのだろうと想像します。このことからもPSDで十分だということが導けます。

 ところでPSDって何時頃からあったんでしょうか?

 自動車の自動運転等によく使われるLIDARは高いなぁ...

LIDAR-Lite v2 光学距離センサー

LIDAR-Lite v2 光学距離センサー

 

追記その2

2016年7月某日

 半年ぐらい前に上記のように書きましたが、答え合わせをしてみると、自動移動のために目印にしていたのは自陣ポール中央のポールの台座ではなくポールそのものでした。

*1:オムロンの「変位センサ 概要/原理・分類/用語解説」が分り易いでしょう。

*2:2012年のベストペットで鈴鹿高専が光の強い照明のために調整に手間取っていたことろが映しだされていたような気がします

*3:例えばSHARPGP2Y0A710K0Fという距離センサの価格はRSコンポーネンツで確認できます