弓削商船高専A HIMEMADONNA(ヒメマドンナ)
最近このブログのルック&フィール(デザイン)を変えてみました。このブログシステムで提供されているものをほぼそのまま使っただけです。ロボコンをイメージさせるデザインではないのですが、見やすくなったと思います。
日伊様式美の追究
トーナメントの頂点を目指しているというよりは、何かのコンテストの頂点を目指したいように見えてくる不思議なロボットである。高専ロボコンはコンテストを名乗ってはいるが、トーナメントを採用してしまったために、そして面白くするために、コンテストのトーナメントとコンテンストの重みを比率で表すとすれば7:3か8:2といったところで、トーナメント重視の大会なのである*1。そのような場であるにも関わらず、ある種の統一された美の追究の場として選んだことは彼らの情熱の発露に相応しいからであろう。
初戦の2回戦第3試合で阿南高専Aチームの「AQSent(アクセント)」に2対6で負けてしまった。自陣ポールに2得点できていた。どう見ても中央ポールと相手陣ポールに輪が届きそうになかったが、設計時からそうだったのなら、チームメンバーは満足していたのではなかろうか。
弓削商船高専A HIMEMADONNA(ヒメマドンナ) 画像URL
NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 四国地区大会 出場校データチェック ページより
上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。
彼らの応援に弓削商船高専のマスコットキャラクターの「マーレちゃん」が来ていた。NHK事務局の呟きでは「めるちゃん」になっていたが、「マーレちゃん」で良いらしい。所謂ゆるキャラである。ゆるキャラ提唱者のみうらじゅん氏のゆるキャラ三条件のうちの「ゆるさ」はどこにあるのか分からなかったが*2、このチームのロボットのモニターに表示されていたマーレちゃんの髪の色が着ぐるみと異なっていて、そういうところではないかと思う。
"HIMEMADONNA(ヒメマドンナ)"といい、「マーレちゃん」といい、何故イタリア語が使われているのか?"HIMEMADONNA(ヒメマドンナ)"は分解すると、"HIME+MA+DONNA"であり、HIMEは姫または愛媛のヒメであろう。MA+DONNAはイタリア語で聖母マリアか美女のことを意味する。多分、愛媛の美女みたいな意味の日伊合成語(派生語)であろう。一方、「マーレちゃん」の「マーレ」はイタリア語で「海」を意味する言葉である。日本語にすると「海ちゃん」である。
弓削商船高専のカリキュラムは全くわからないが、必修の第ニ外国語はドイツ語ではなくイタリア語なのだろうか?それとも、海運関連で学ぶことの中に英米式ではなく、世界で最初に複式簿記が開発されたイタリアのベネチア由来の大陸式のモノコトを尊ぶことがあるのだろうか?謎は深まるばかりである。
ところで、自校のマスコットキャラクター(ゆるキャラ)で応援したのは弓削商船高専が最初ということになるのでしょうか?過去の大会に自治体のゆるキャラが国技館まで応援しに来ていたのを見たことがあるような、ないような。
高専 #ロボコン
四国地区大会には、弓削商船さんのゆるキャラ「めるちゃん」さんが来てくれました(綴りが間違っていたらごめんなさい) pic.twitter.com/o7ZpUm2Ga1
— 高専 & 学生ロボコン (事務局公式) (@OfficialRobocon) 2015, 10月 24
特徴
- 移動システム:2輪駆動タイヤ+2輪補助輪
- 射出エネルギー源と格納方法1:2次電池
- 射出装置1:2軸2モーターの挟み型ローラー(横挟み)(汎用?)x1
- 照準/測位システム:カメラとモニターで人間が照準を合わせる
- 通信システム:未確認
- コントローラー:ゲームパッド
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:未確認
- 妨害装置:なし
統一感
幅30mm前後の中空のアルミパイプ構造材で機体のフレームを形成し、パイプの中に全てのコード類を配線することにより、アルミパイプ表面の酸化皮膜の鈍い輝きと相まって独特の造形美を印象づけている。また、ギアやホイール、制御基板などを格納する箱まで銀色か白色のモノを使い、別の色だったところは銀色に塗っているかアルミ箔で覆われている。その中でタイヤやカメラなどの黒色の部品がアクセントとなっている。銀色を基調色としたモダンな配色となっていて色彩への配慮も感じ取れる。さらに、これは偶然かもしれないが、輪の装填装置にボールねじが使われており、そのネジの直径がちょうどフレームの幅ぐらいで、幅に関しても統一感がある。
褒めたままで終わろうと思ったが、ちょっと残念なところが一つだけある。射出装置のローラーがブレていることである。直線的なシャープなデザインに対するアンチテーゼの内包、自己矛盾的なデザインがあるのは醜い。そこは綺麗に真円度高く加工して欲しかった。
美の優先
このロボットの駆動部分に注目すると、ギアヘッド付のモーターにホブ盤などでアルミニウム丸棒から削り出したようなタイヤ程の大きさのギアが直付けされているように見える。小言になってしまうかもしれないが、最近のロボコンは重量制限が厳しくないと思うのでカップリングはするべきである。モーターやギアヘッドによっては、ピニオンが圧入か焼きばめで固定されているので、カップリングしてないとピニオンが外れてしまうかモーターごと損傷する可能性がある。デザイン優先だったんだろうか、それとも重量制限のためだったのだろうか。
重量制限といえば、この機体、幾つかの装置を設計段階か大会前に取り外していたのではないかと思わせられる。モニターのある方から見ると、随分とアンバランスな気がしてしまい、それが醜い。ひょっとすると、中央ポールや相手陣ポールを狙う装置が自陣ポール用の装置の反対側や中央に据え付けられていたのではないか。勝負ではなく美を追究していたとしたら彼らの美に対する執念を感じざるを得ない。
照準装置
恐らく、小型デスクトップPC、モニター、ウェブカメラをうまくフレームと箱に収めているのだろう。バッテリーはどうしているのか?また、そのPCをとロボットの制御系は切り離されているのか?それともPCで全てを制御しているのだろうか?
画面を見た限りでは何かOSが動いていそうな雰囲気があったが、どうだったのか?
今回、試合成績は良くなかったが、今後の大会課題・ルールによってはプラットフォームとして機能しそうな機体である。克服するための装置を作って中心に据えるだけで直ぐに動作させられそうである。前世紀(2000年まで)の四国地区大会では優勝を争っていた古豪のイメージがあるので、是非とも復活して四国地区大会をもっと盛り上げて欲しい。
追記
ひょっとしたら、愛媛みかんの新品種の「姫まどんな」から名づけたのかもしれない。下記参考まで。
ところで、そういう品種名がつけられた最初のロボットってなんでしょう?あるのだろうか?