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最近の高専ロボコンに感動したブログ

高専ロボコン第30回大会も近いということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

香川高専詫間キャンパスA Eclipse(エクリプス)

第28回 四国地区

 個人的に、好きなチームの一つである。何度も改良や作り直しをし、必要最低限度の装飾しかしない割り切り姿勢に何故だか惹かれるのである。かつては勝利に拘り過ぎたために妨害行為で物議を醸したこともあったが*1*2、2000年から2010年にかけての活躍は目覚ましいものがあり、彼らの勢いを誰にも止められないと思わせるもので、地区大会では9連覇、全国大会ではベスト4進出回数最多、優勝回数最多、優勝と大賞受賞の史上初の同時達成、そして史上初にして未だ唯一の全国大会連覇を成し遂げてきてきた。高専ロボコンの歴史を語る上で絶対に欠かせない存在なのである。

試合内容

 1回戦、2回戦は対戦相手の完成度・調子が悪く終始リードし、1回戦はVゴールで勝利、2回戦は1対6で勝利した。

 準決勝は最近勢いがある同校高松キャンパスのBチーム「 迅(ジン) 」との対戦で、彼らは1回戦と2回戦ともにVゴールを決めてきた油断のならない相手である。序盤の自陣ポールでは開始16秒で両者3対3と並ぶが、これ以後詫間が終始リードしていく。中盤、高松は詫間が中央ポールを終えたときに輪がからんだため、スタートゾーンへ戻る。その隙に詫間は相手陣ポールを決めVゴールまであと1本と迫ったが、輪が尽きたので、高松と一緒に輪の補充でスタートゾーンに戻り、高松が先に出てきて加点して8対7と追い上げたが、高松がまた輪が引っかかりスタートゾーンへ戻った隙に詫間Vゴールをして勝利。高松が二度も輪が絡まなかったらどうなっていたのだろうか?高松のメンバーが詫間は勝負運が強いと讃えてはいたが、リスクが計算できる信頼性に富む機体だからこそ勝負に持ち込めるのではないだろうか?

 決勝は、四国大会では珍しくもない、詫間キャンパス同士の対決であった。しかも、Bチームの「Force(フォース)」は、一瞬みただけでは同型機と言えるほど似ているのである。メンタル・戦術なども含めて総合力でどちらが強いかを試されるようなもので、スタート開始前の舌戦からヒートアップしていた。序盤の自陣ポールはほぼ同時の開始14秒で3対3の同点とするも、BチームのForceにリードされていく。途中4対4、8対8と同点に追いつくも、先にBチームにVゴールを決められて負けてしまった。どちらが勝ってもおかしくはなかった。

香川高専詫間キャンパスA Eclipse(エクリプス) 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 四国地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

特徴

  • 移動システム:4輪オムニホイール(十字型配置)+2輪補助輪
  • 射出エネルギー源と格納方法1:2次電池(+輪の送り出し用圧縮空気(ペットボトル))
  • 射出装置1:2軸2モーターの挟み型ローラー(横挟み)(自陣)x1
  • 射出装置2:4軸4モーターの挟み型ローラー(横挟み)(中央・相手)x2
  • 照準/測位システム:なし(目視)
  • 通信システム:2.4GHz? or 920MHz?の製品独自通信プロトコル
  • コントローラー:プロポ
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:未確認
  • 妨害装置:あり(自陣ポール用射出装置あたりにネット)

移動システム

 4つの駆動輪のうち、2輪だけを動かせばよいレイアウトを採用しているが、射出のときに揺れたりするのか、不安定さを取り除くために補助輪を2輪付け足しているように思える。

射出機構

 全ての射出装置は基本は同じ機構であると言ってよいだろう。自陣ポール用の射出機構は他のポールよりローラーが少なく「算盤」と仰角調整機能がついていないだけである。

 2つのローラーの間に輪を供給する機構はエアシリンダによって動かされている。四国地区大会で他校のチームが輪の供給で引っかかっていることが多い中で一度も引っかからなかったその信頼性は賞賛されるべきである*3

 仰角を調整する機構はおそらくボルトとナットを上手く利用している。そのナットを抱えるリンク機構が射出機構部分を保持しているので、ボルトが回転することによってナットが上下し、仰角が調整可能となっている*4。ローラーの回展数制御をしていないようなので、射出位置を固定し仰角の調整だけでポール獲得精度を高める方針のようだった。仰角の情報を操縦者がどのように受け取っているのかわからないが、かなり速く調整可能なようだった。「なんだ、ただのネジ送り機構じゃないか!」という方もいるかも知れないが、真面目に作ると、例えば下記のサイトのように結構面倒なものである(DCモーター用ではないですが)。

www.orientalmotor.co.jp

 算盤を補助ローラー代わりに採用したのは面白かったが、実は今大会唯一のアイディアではない*5。しかしあんなに沢山の算盤の珠を利用しているのは、詫間の両チームだけである。確かに、金属製ベアリングよりは軽くできるし、加工しなくても点接触にできる形状をしており、転がりやすいことから*6、今回の用途にはぴったりである。

 ポールの正面で輪を射出する方式を採用したのに、何故装置を二つ用意したのかを、今のところ解析できないでいる。試合では、片方を中央用、もう片方を相手陣用に予め仰角をあるていど調整してあるが、左右の射出装置は中央・相手陣ポールの両方を狙えるようになっているように見える。可用性を上げるため、戦術の選択肢を増やすためだろうか?

通信システムとコントローラー

 全国でも唯一のはずであるが、ラジオ・コントロール用の通信システムとプロポを使用している。ひょっとしたら改造をしているかもしれないが、それは外からは全くわからない。

 仮に製品をそのまま利用しているとすると、利用周波数帯は2.4GHz帯か、それとも、比較的最近解禁され、一時プラチナバンドとも言われ、ドローンなどにも利用されるようになってきた920MHz帯であろうか?最新の全チャンネル同時出力が可能なレスポンスの良いものを使っているのだろうか?*7操作すべき箇所は8chぐらいで賄えそうである。

 これは想像に過ぎないと思うが、電波高専という機械系学科のない、そして電波と通信のプロフェッショナルを育てる学校の流れをくむキャンパスのチームが自作せずに既成品をそのまま使っているのはきっと合理的な判断があったのだと思いたくなる。チームメンバーなら「誰でも」通信システムが理解でき、壊れても直せるのであれば、既成品を採用して、比較的不得手な機械的な部分の開発にリソースを割いたのではないかと推測したくなる。もしそうであれば、こういうところが彼らの強さの一因であると思うし、好きな理由である。幸い、この疑問に応えてくれる記事が最近公開されていた。

Honda賞取材レポート | アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2015

 地区大会の決勝戦で対戦したBチームのフォースが全国大会でHonda賞を受賞しており、その取材記事中に、電気・電子回路担当の学生が「簡単なもの」にして「操縦者が直ぐに理解できる」と述べていたので、上記の想像は完全に外れているわけでもない。恐らくこのAチームも同様であり、ここからは想像であるが、操縦者が交代しなければならない事態に備えたり、次回大会移行へ向けての後輩への技術指導を考えてチームで情報共有と理解がなされているのかもしれない。

 極めて個人的な意見であるが、専門の担当を決めつつも情報の共有と理解を行っているチーム体制は大変好ましく思う。ひょっとすると、これが彼らの強さの秘密の一つであろうか?

*1:2001年のHappy Birthday 39の旧仙台電波(現仙台広瀬)との対戦でロボットのみならず操縦者の移動も妨害したんでしたっけ?誰か確認のために映像を見せてください。この大会の映像を現在持っていないのです。

*2:これ以来彼らを毛嫌いする方が若干いるようですね。

*3:本当は「dis」ることはこのブログではしたくなかったんですが、機械系科のある他の高専のチームのがない高専のチームより性能が劣るというのはどういうことなのでしょう?

*4:よく見る機構ではある

*5:ちょっと思い出せないが、他校のチームで採用していたところがあったはず。

*6:幼少の頃、算盤スケートボード代わりにしたことを思いだした。(汗)

*7:通信関連はもうちょっと調べないといけませんね。