高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

PDCAだけではなくOODAもではないのか?

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PDCAサイクル

 最近、高専ロボコンの協賛企業の一つであるローム株式会社が、取材を確りと行った上で、高専ロボコンの魅力が高まるようにオウンドメディア上で記事を公開しています。大会当日の試合だけでなく、テストランのもようを臨場感を持って伝えたり、NHKの番組ではあまり伝えていないマニアックな部分を一段以上掘り下げて解説しています。活字版の高専ロボコン番組と形容すればよいでしょうか。

 毎回優良な記事を上げていると思うのですが、少し気になる記述がありました。2018年11月30日のです。
deviceplus.jp
上記記事の

ロボコンへの挑戦は、PDCAサイクルの高速ループだ。

確かにロボットを開発・製作している最中はPDCAサイクルを回している時があることでしょう。今大会の場合でいえば、ペットボトルをテーブルに乗せる確率を高めていくことが相当するでしょうし、自動機の自己位置推定の精度向上・失敗確率の低減なども相当するでしょう。要するに品質向上です。しかしながら、試作や製作に入ってもとめどなく溢れだしてくるよりよいアイディア、開発時の大胆な変更、未知の対戦相手への対処、テストランや試合前中後に発覚・発生した危機的な状況などにはPDCAサイクルは向きません。そういった変化に対応した意思決定が必要な状況ではOODAが適しています。

 OODAについては検索すれば沢山の解説を得られるので説明は省きます。OODAループと「ループ」をつけて解説していることがありますが、基本的には状況の変化に対応した意思決定を素早くするものです。状況が変わればループをさせる、もしくは状況がかわるまで暫く様子をみるというだけのことでしょう。

 高専ロボコンで、公表されている情報の中では、2015年第28回全国大会で優勝した奈良高専の「大和」の開発経緯*1がOODAであったと言ってもよいと思います。例年より早いアイディアシート提出期限後に、試作によってアイディアが溢れ出したり想定される対戦相手のイメージが明確になったりしたことで最終的な製作目標が揺らいだようですが、全国優勝を成し遂げる一心で素早く意思決定をすることができ、製作にとりかかれたようです。

 私は今回の全国大会を観戦していたにも関わらず明確には聞き取れてなかったのですが、呉高専のアナウンスで、予期せぬ今年の災害の影響のためにあのアイディアを採用するに至ったそうだと紹介をしていたように聞こえましたので*2、恐らくはOODA的に状況をよく観察し、認識できた状況の中で最善となるアイディアを選んだのだと思います。因みに、アイディアシート提出後、エントリーシートを提出する9月上旬まではアイディアの変更が可能なようです。

*1:Devise Plus 『高専ロボコン2015 出場ロボット 解剖計画』より

*2:間違っていたら訂正してください。