高専ロボコンデータベースをつくっていくブログ

高専ロボコン第30回大会を終えてこれからも面白いロボコンであってもらいたいということで最近の高専ロボコンに感動した自分が満足できそうなデータベース構築のために情報を蓄積していくためのブログです。

大分高専B Golgoole(グルグール)

 そろそろ情報の粒度と、DBのあり方が見えてきたような気がします。それぞれ後ほど記しておこうと思います。今のところDB蓄積係に徹している私を含めた某3人の方には何卒吟味とご意見をお願い致します。

勝利の方程式

 地区大会2回戦第7試合から登場の大分高専Golgoole、対戦相手は八代の動く城。自陣ポール全てを脅威の9秒で得点するも、八代に直ぐに追いつかれ、逆転されてしまうが、中央ポール2本掛けで逆転。八代が追いつけずにいる間に輪の再装填を完了し、今度は大会初めての3本掛けを成功させて大きく引き離し、19対5と大差と最高得点を記録して勝利した。逆転されても中央ポールの複数本掛けで大量得点んを得て勝つというGolgooleの勝利の方程式を見せつけた。続く準々決勝、久留米AのFortressとの大戦も、今度は一度も逆転を許さず、ともすれば相手陣ポールあと一つでVゴールかという状態で、前試合同様の勝利の方程式で15対1で勝利した。

 次の準決勝はあの北九州のWanna be。序盤の自陣ポールを難なく全て決めて3得点とするも、直ぐに追いつかれ逆転されてしまうが、直ぐには北九州Wanna beにVゴールされないことを計算づくでリードさせておきながら何時もの勝利の方程式で3本掛けを成功させ13対6と一気に再逆転。さらに2本掛けも成功させて18対7とするが、相手を侮ったのか自陣ポールを守らず相手陣ポール用の輪を装填中にがら空きの自陣ポールに立て続けに輪を入れられ、1分34秒でVゴール勝ちを決められてしまった。試合運びに文句を言うつもりはないが、13対7の時点で中央ポール用の輪を飛ばさずに自陣ポールへの守備として回し続けていたら違った結果になっていたのかもしれない。高得点能力が買われたのか、全国大会には推薦された。

 全国大会初戦の1回戦では岐阜高専Quoits Zwei(クオイ ツヴァイ)とあたり、両者調子の出ないままだったが、辛くも4対2で勝利した。続く2回戦で近畿地区からの全国大会初制覇を目指していた和歌山高専梅王(バイキング)と対戦し、いつもの勝利の方程式で中央ポールの2本掛けで逆転したが、直ぐに8対8の同点とされ、相手陣ポールへの連射が出来る和歌山に何発も撃たれた末に和歌山のベストタイム51秒でVゴールされてしまった。

 下手な小細工をせず、自分達の信じた戦術で勝利の可能性を常に見せ続けた姿勢に感心した。欲を言えば、中央ポール用の大きな板がついた回転する装置を守りに入った時に輪を伴って変形させたり、ただ回したりなどして高さを出して自陣ポールを守る盾、妨害装置として活用したらもうちょっと上を狙えたのかもしれない。

大分高専B Golgoole(グルグール) 画像URL

NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより

上記サイトの都合で画像が閲覧できないことがあります。

 特徴

  • 移動システム:四輪オムニホイール
  • 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(金属製エアタンク)
  • 射出エネルギー源と格納方法2:2次電池
  • 射出エネルギー源と格納方法3:金属バネ
  • 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(自陣)x3
  • 射出装置2:モーターで水平方向回転輪投げ(中央)x1
  • 射出装置3:金属バネ引張弾性利用カタパルト(オーバースロータイプ)x1
  • 照準/測位システム:自陣ポール検出器あり?、中央、相手にはなし(目視)
  • 通信システム:未確認
  • コントローラー:自作(15ボタン)
  • 操縦者:1名
  • 自律機能/自動機能:自陣ポール自動射出
  • 妨害装置:なし

大分の本気

 部品や構成をみれば、自陣ポール用の射出機構はAチームとほぼ一緒のものであろう*1。自陣ポール3点獲得に失敗がなく、Aチームと同等の性能が発揮できている。恐らく自陣ポールだけを狙うのであれば最速級であろう。また、相手陣ポールよりも中央ポールの複数本掛けを優先する戦術も、連射のための装填装置を持たないこともAチーム同様である。異なるのは中央ポールへの射出機構、相手陣ポール専用の射出機構があるかないかだけのようだ。さらに言えば、コントローラーもほぼ同じものに見えた。おそらく通信システムもほぼ同じであろう。駆動システムもメカナムホイールを採用していて同じである。どういう組織体制でこの大会に臨んだのかはわからないが、優勝を目指して可能な限りの効率化を行ってきたことは想像に難くない。

 両チームとも地区大会優勝に手が届かなかったが、両チームの全試合合計得点79点は九州沖縄地区大会で最高得点であるし*2、2位の八代47点を大きく引き離している。決勝戦を戦った北九州のWanna be、八代の挑戦車に勝てる可能性を感じさせ、結局は敗れてしまったけれども、試合中に逆転をしてみせた実力は次の大会以降の活躍を期待させる。

射出トリガーをどうやって作動させているのか?

 Golgooleは中央ポールを狙う回転台は大きな輪を飛ばすために、最初は回転速度を加速させるために輪の一部を折りたたんだまま回転し、ある程度の回転速度に達したら輪を広げて回転させて輪を射出するが、折りたたんだ輪の一部を解放するためのトリガーと輪を射出するときのトリガーはどうやって作動させているのだろうか?過去の大会には、例えば第22回大会DANCIN' COUPLE(ダンシング・カップル)全国大会でデザイン賞を受賞した一関高専の若さまの南部鉄器マンは回転する上半身と下半身とで無線通信をしていたと耳にしたが、Golgooleも同様に無線を用いていたのだろうか?無線を使うにしても若さまのようではなく、直接コントローラーから操作していたのかもしれない。また、ある程度の自動化もされていたに違いない。

意外に精度が良さそうな相手ポール用射出機構

 オーバースロー型の射出機構にしては腕の長さが短くコンパクトに収まっている相手ポール用の射出機構は精度も良さそうである。輪の弾道を容易に高く変えられないようなので防御ができる機体にはあまり脅威にはならなかったようだ。

メカナムホイールの弱点か?

 このロボットが中央ポール狙いのときに輪を載せた板をグルグルと回転させている最中のロボットの揺れに注目して欲しい。回転している輪と板の重心の移動と慣性力によって左右振れてしまっている。このロボットの場合は輪の大きさが幸いしていたのか精度に影響はなかったようだが、群馬高専の上州カウボーイなどは上手く中央ポールに入れられないことが目立っていたので影響があったとみている。Golgooleのように輪を回して飛ばすタイプのロボットのうち、メカナムホイールを採用しているところは左右に揺れていた。これはメカナムホイール特有のことなのか、それともモーターに至る直前の回路を短絡してブレーキをかけていなかっただけなのか?よくご存知の方がいたら教えて欲しい。

*1:検出方法・センサーが気になります。

*2:ひょっとすると全国でも最高点でしょうか?