大分高専A 輪射るどSPEED(ワイルドスピード)
大分高専というと、ひょっとすると高専ロボコンで一番有名かもしれないロボット「スプレもん」、そしてメジロンのイメージしかなかったんですが、こんなに試合巧者な大分高専を見たのは初めてでした*1。
2回戦第1試合からの登場で、1分でVゴールを決められる北九州高専Aチームの「風輪華山(フウリンカザン)」との対戦。開始9秒で自陣ポール全てで得点し、開始18秒で中央ポール全て得点するという同時射出型を除けば最速の部類に入る速さと正確さでリードを保ち、北九州が同点に追いついても中央ポールの2本掛けで瞬時にリードを築き、一瞬の同点を許すも、自陣ポールを妨害装置で守りつつ追加得点をしてVゴールを許さず勝利。続く、準々決勝の熊本高専熊本キャンパスAチームの「花咲かぞうさん」との対戦も同様の展開で逆転を許さず勝利。
準決勝、相手はあのスナイパー、熊本高専八代キャンパスBチーム の「挑戦車(チャレンジャー)」である。以前ように軽快に自陣ポール全てに得点してリードしていたが、トラブルが発生したのか直ぐにスタートゾーンに戻り、その間に八代にリードを許してしまう。それでも開始45秒で8対7と逆転し、相手の輪を妨害しながら時間の経過を待つだけであったが、八代が高弾道戦術に切り替えて8対8と同点に追いつかれ、そして直ぐにVゴールを決められ敗退してしまった。
八代の高弾道は防げなかったものの、装填装置がないのと、得点差で勝つという、割り切った戦略になんとなく好感が持てた。
大分高専A 輪射るどSPEED(ワイルドスピード) 画像URL
NHK高専ロボコン ライブストリーミング サイト 九州沖縄地区大会 出場校データチェック ページより
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特徴
- 移動システム:四輪メカナムホイール
- 射出エネルギー源と格納方法1:圧縮空気(ペットボトル)
- 射出エネルギー源と格納方法2:ゴム?
- 射出装置1:エアシリンダ押出カタパルト(押出型)(自陣)x3
- 射出装置2:ゴム引張弾性利用カタパルト(航空母艦型)(中央・相手)x3
- 照準/測位システム:自陣ポール検出器あり?、中央、相手にはなし(目視)
- 通信システム:未確認(アンテナ2本)
- コントローラー:自作(15ボタン)
- 操縦者:1名
- 自律機能/自動機能:自陣ポール自動射出
- 妨害装置:輪を利用した高さによる妨害部品
射出機構が6個しかないのに装填機構がない潔さ
自陣ポールに走っていくだけで自動で素早く確実に3得点でき(最短9秒)、中央ポールも素早く複数のポールにかけるか3得点できる実力(最短18秒)があるので、その部分だけで勝利と優勝を意識していると感じるのだが、装填装置を持たず、一旦スタート地点に戻って人力で装填し直すという戦術。出場校データチェックのページにあるように、優勝するためにあらゆる想定・シミュレーションをしてみて、最も効率の良い形態を設計し、自分達を信じて装填装置を搭載して連射をしない選択をした潔さを感じる。
自陣ポールのセンサー
どういうセンサーを利用しているのかわからない。自陣ポール用射出機構の両脇にセンサーが取り付けられていると思わしき部分があるが、もしそこに取り付けられているのであれば、大きさからいえば、超音波センサーか位置・測距センサーが取り付けられているに違いない。
珍しい形式の射出機構
射出エネルギー源に恐らくゴム素材を使っているとみているのだが、引っ張り方が珍しい。素材の端をそれぞれ逆方向に真っ直ぐ伸ばすのではなく、車輪を挟んで伸ばす方向を同一にしている。輪を飛ばすだけの力を得るのにそのまま伸ばすと、縦横高さが1600mm以内に収まっていなければならないルールに抵触してしまうので仕方なかったのだろう。
中央ポールを1点ずつ取る時は1つの射出機構を独立して使い、複数本掛けを狙うときは3つの射出機構を同期させて使っている。また、侵入禁止フェンスの段差を利用して中央ポール側につけば中央ポールを、自陣ポール側につけば相手ポールを、射出仰角を変更しなくても狙えるようにしている。
*1:私が知らないだけかも。